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黒澤世莉です。

演劇づくりは、旅に似ているのかもしれないな、と思いました。

一泊二日で観光スポットを一気に巡る旅行も、疲れるけど楽しいと思います。

一方で、わたしは一ヶ月くらいぶらぶらしたいです。観光スポットはほどほどにして、知らない町の路地裏で、美味しい屋台を見つけて食べたりしたい。観光名所でもなんでもないところで、ふと見かけた町の人と目があって、一言二言交わした会話なんかが、ずっとあとに思い出されるような深い印象を残したりする。

稽古もね、似てるんじゃないかな、て思うんです。短い期間でダダダだっとつくっても、勘所さえ押さえれば面白く出来る。一方で、稽古で紆余曲折を経ると、なんでもないシーンのどってことない台詞が、あとあとまで思い出されるような深い印象を残したりする。

時間があったら遠回りをするのは、旅や演劇の醍醐味を味わうことになるよ、てはなし。

閑話休題。

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10年来のフィンランド人演出家、ユハ・マケラさんと、『野うさぎの年』という戯曲を上演するプロジェクトをやっています。

『野うさぎの年』は、もともとフィンランド語で書かれた「Janiksen vuosi」という小説でした。「The Year of the Hare」というタイトルで英訳されてます。


で、ベストセラーになって、映画にもなりました。日本語でも、英語版から翻訳された小説が出版されてます。


で、2005年に演劇化されました。その戯曲をフィンランド語から日本語に翻訳したのが、今回のプロジェクトの台本です。

来年はフィンランド独立100周年。その記念事業のひとつとして上演する予定です。日本で初めて、フィンランドの戯曲が上演される、それもフィンランド語から日本語への翻訳というのは非常にまれなことらしいので、色々楽しそうです。

前置きが長くなりました。というわけで『ローザ』稽古真っ最中だけど、2年前からユハさんとワークショップを重ねてるご縁で、今回時間堂と、木内コギトさん、中谷弥生さん、松本一歩さんにご協力いただいて、台本読みをして、感想を共有しましたよ。

『野うさぎの年』は、人間の再生の物語です。人生に不満ばかり溜まっているさえない中年男ヴァタネンが、車で引いてしまった野うさぎとの出会いを気に、本当の自分を取り戻していく、ていうお話。人生迷子中の私には、ヴァタネンの破れかぶれが、自然や人間との出会いを経て生まれ変わっていくさまが、すごく響くはなしです。

演劇的には、構造が工夫されてるおはなしで、原作のエッセンスは活かしながら、小説とはぜんぜん違う遊びゴコロに溢れた戯曲です。でも軸になるヴァタネンが自分を取り戻す、てことにしっかり見据えられてて、その上で、誰もがヴァタネンでありえるし、またヴァタネンとして生き延びていかねばならないよね、ていうメッセージが響くいい戯曲でした。まあ、下品ですが。

『ローザ』と『野うさぎの年』は、メタ構造を遊び倒そうとしているところが重なって、そういう意味では意外と役に立つ寄り道だったんじゃないかなあ、て思ってます。

面白いプロジェクトになりそうです。ご期待下さい。

で、プロデューサーを募集しているので、興味がある方はご連絡をください。ほんとふんわりでいいので、話だけでも聞いてください。




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●演出作品 Plays
花束で抱きしめるような体験を、あなたのために
時間堂 最終公演 『ローザ』 [12/21~30] at 十色庵 [赤羽]
http://handsomebu.blog.jp/archives/52390095.html


【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/


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http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html