黒澤世莉です。本日の演出ノートは、公開稽古ことワーク・イン・プログレスについて。

時間堂は、わりと前から稽古場を公開してます。前回までは無料でお見せしてまして、今回からは一回1,000円を頂戴して公開してます。

「まだ出来ていないものを公開するなんて、恥ずかしいわ」って方が多くいらっしゃるのも知っているんですが、私は見てもらう利点のほうが多いんじゃないかと思っています。

そもそも、完成品を作るってことにあんまり興味が無いんです。過程が一番面白い。スリリングだし。公演があるのである程度の作品に整えはしますが、それもひとつの答えに絞っていくというより、複数ある目的地の中で一番魅力的なものに寄せていく、みたいなイメージでやってます。

だから、お客様に観せちゃう稽古も全然平気。見てもらったから初めて分かること、が演劇においてはたくさんあるので、積極的に観に来て欲しいと思っています。

公演初日に、作品と観客が初めて出会って、分かることってたくさんあるんですよね。そういうの、前倒しできるんですよ。公開稽古。それは、構造的にちゃんと伝わるか伝わらないか、みたいなことも分かるし、俳優たちが人に観られることで、観られなれるということもそうです。

そして、観に来た人に感想を聞くと、けっこうみなさんいいこと言ってくださいます。いや、いいこと言えってことではなくて、素直に喋っていただくと、けっこうこっちとしては参考になる意見になるんですよ。

ほら、作品に対して距離が近くなりすぎちゃうから。遠くから、初めて観た方の感想とか、ほんとに参考になります。

公開稽古の面倒なことは、告知したり、当日受付をしたり、ていうのはあります。ありますけど、それに比べて得られるものが多いんじゃないかなあ、て思いますよ。

世阿弥も「未完成なものを見せて熟練していくんだよ」て言ってますしね。

次回こそ演出助手の話に行けると、いいなあ。


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