興奮している黒澤世莉です。
夜中に犬に起こった奇妙な事件[ナショナル・シアター・ライヴ]
http://www.ntlive.jp/curiousincident.html
観てきました。
もう一回みたい。
わたしもうすれっからしババアみたいになっていて、もう一回観たいなんて滅多に言うことないんですけど。
いやー、最後の最後にやられましたね。そういうことか、と。なんて美しく、華麗で、緻密に作られた作品なんだろう、と。あの台詞が戯曲段階からあったんだとしたら、作家に脱帽という他ない。し、あの台詞が演出発想であったんだとしたら、やっぱり演出家に脱帽です。
基本的には、私の好きな要素がたくさんありました。囲み舞台で舞台美術は無し。ハコを抽象的に使い回す美術、絞り込んだ小道具。そのわりに動物は使う。消え物は使ったり使わなかったり。コンタクトインプロ的要素を多様。息もつかせぬシーンチェンジ。
でもね、そういうことじゃないんですよ。俳優たちが役柄として、一つ一つ丹念に積み上げてきた物語が、最後の最後に集約して弾けるんですよ。本当に気持ちよかったなあ。しかも、あんだけ派手に演出しておいて、そこは俳優二人の地味な、しかし高密度なやり取りでみせるんだぜ。
最高か。
こういうカタルシス、大好き。
この先はネタバレにて。
この肩書も伊達じゃないねえ。みんないい仕事してました。以下引用。
わたし、NTLは好きですが、全部が全部を手放しで褒めてるわけじゃないです。あんまり好きじゃない作品もある。でも、これは本当に素敵でした。オススメです。ちなみに、いままでNTLでお気に入りは『欲望という名の電車』、あとNTLじゃないけどジュリー・テイモア『真夏の夜の夢』も良かったね。
ごちゃごちゃ重箱の隅つつけばいくらも言いたいことはあるんだけど、ま、そんなことどうでもいいや、て気分で劇場を後にしました。
7/1まで、シネ・リーブル池袋で19:30からやってます。これはどんとみすいっと。
以下ネタバレ
クリストファーに先生が問いかける最後の台詞。
「みんなの力で演劇になったのよ」
だけどクリストファーにはこの意味が届いていない。彼は自閉症であり天才であるが、他者の助けがないと生きていけないのだということが理解できていないのだ。
父親とのシーンも母親とのシーンも、ほんとうによく出来ている。それらのシーンでクリストファーが決して父親とも母親とも相容れないことを丁寧に描き切っている。そして母親の浮気相手の台詞まで、主題に深く関わっているのだ。
だからこそ、あのラストに説得力も出るのだ。
これは自閉症だとか天才だとか、そういう問題ではなく、人間全体に対する問いかけになっている。私たちは誰もが一人では生きていけないのに、しばしばそれを忘れてしまう。
「演劇をつくるって校長先生が提案してる」とか「カーテンコールの後にやったらどうかしら?」とか、メタ演劇的なこと差し込んでくるな―って思ったら、ドラマの核である「人は一人では生きていけない」ということと「演劇は一人ではできない」ということを、セリフ一つで統合させるなんて。いやあ、ほんと、あの瞬間は「演劇って素晴らしい」て思っちゃった。思わされちゃった。
そう、思い出させてくれて、ありがとうございます。
【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html
【演出します】2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】
時間堂レパートリーシアター8月20日(土)『夏だ!一番時間堂まつり』
at 十色庵
【次回本公演】「ゾーヤ・ペーリツのアパート」
2016年7月29日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
http://handsomebu.blog.jp/archives/52370530.html
【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/
【ワークショップ情報】6月
http://handsomebu.blog.jp/archives/52369376.html
【演出家/俳優:参加者募集】ファシリテーターしますよ:ディレクターズワークショップ [大阪][8/15~18]
http://handsomebu.blog.jp/archives/52374184.html
夜中に犬に起こった奇妙な事件[ナショナル・シアター・ライヴ]
http://www.ntlive.jp/curiousincident.html
観てきました。
もう一回みたい。
わたしもうすれっからしババアみたいになっていて、もう一回観たいなんて滅多に言うことないんですけど。
いやー、最後の最後にやられましたね。そういうことか、と。なんて美しく、華麗で、緻密に作られた作品なんだろう、と。あの台詞が戯曲段階からあったんだとしたら、作家に脱帽という他ない。し、あの台詞が演出発想であったんだとしたら、やっぱり演出家に脱帽です。
基本的には、私の好きな要素がたくさんありました。囲み舞台で舞台美術は無し。ハコを抽象的に使い回す美術、絞り込んだ小道具。そのわりに動物は使う。消え物は使ったり使わなかったり。コンタクトインプロ的要素を多様。息もつかせぬシーンチェンジ。
でもね、そういうことじゃないんですよ。俳優たちが役柄として、一つ一つ丹念に積み上げてきた物語が、最後の最後に集約して弾けるんですよ。本当に気持ちよかったなあ。しかも、あんだけ派手に演出しておいて、そこは俳優二人の地味な、しかし高密度なやり取りでみせるんだぜ。
最高か。
こういうカタルシス、大好き。
この先はネタバレにて。
この肩書も伊達じゃないねえ。みんないい仕事してました。以下引用。
2013年のオリヴィエ賞で作品賞を含む主要7部門(最優秀プレイ賞、最優秀演出賞(マリアンヌ・エリオット)、最優秀主演男優賞(ルーク・トレッダウエイ)、最優秀助演女優賞(ニコラ・ウォーカー)ほか)を独占し、ブロードウェイ公演では第69回トニー賞プレイ部門最優秀作品賞や最優秀演出賞などを受賞した。
わたし、NTLは好きですが、全部が全部を手放しで褒めてるわけじゃないです。あんまり好きじゃない作品もある。でも、これは本当に素敵でした。オススメです。ちなみに、いままでNTLでお気に入りは『欲望という名の電車』、あとNTLじゃないけどジュリー・テイモア『真夏の夜の夢』も良かったね。
ごちゃごちゃ重箱の隅つつけばいくらも言いたいことはあるんだけど、ま、そんなことどうでもいいや、て気分で劇場を後にしました。
7/1まで、シネ・リーブル池袋で19:30からやってます。これはどんとみすいっと。
以下ネタバレ
クリストファーに先生が問いかける最後の台詞。
「みんなの力で演劇になったのよ」
だけどクリストファーにはこの意味が届いていない。彼は自閉症であり天才であるが、他者の助けがないと生きていけないのだということが理解できていないのだ。
父親とのシーンも母親とのシーンも、ほんとうによく出来ている。それらのシーンでクリストファーが決して父親とも母親とも相容れないことを丁寧に描き切っている。そして母親の浮気相手の台詞まで、主題に深く関わっているのだ。
だからこそ、あのラストに説得力も出るのだ。
これは自閉症だとか天才だとか、そういう問題ではなく、人間全体に対する問いかけになっている。私たちは誰もが一人では生きていけないのに、しばしばそれを忘れてしまう。
「演劇をつくるって校長先生が提案してる」とか「カーテンコールの後にやったらどうかしら?」とか、メタ演劇的なこと差し込んでくるな―って思ったら、ドラマの核である「人は一人では生きていけない」ということと「演劇は一人ではできない」ということを、セリフ一つで統合させるなんて。いやあ、ほんと、あの瞬間は「演劇って素晴らしい」て思っちゃった。思わされちゃった。
そう、思い出させてくれて、ありがとうございます。
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【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
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【演出します】2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】
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【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
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【ワークショップ情報】6月
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【演出家/俳優:参加者募集】ファシリテーターしますよ:ディレクターズワークショップ [大阪][8/15~18]
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