黒澤世莉です。
ヒューマンアカデミー横浜のことを書こうか、フラット化にこだわる自分の思考のパターンについて書こうか悩みつつ書き始めました。
俳優指導の現場で若い方々に接していると、色々な学びがあります。社交辞令じゃなくてほんとにね。いまは「俳優として舞台に立つとき、最低限持っていなければいけないものは何か」ということを考える機会をもらっています。
俳優なり声優なりを学び始めた初年度に上手になるわけはないです。
そもそも演技において「上手い下手」というのは、実は私にはよく分かりません。「魅力的か否か」とか「説得力があるかないか」なら分かりますが、上手下手に関してはやればやるほど分からなくなります。だから「○○は演技が上手い」みたいな言説に接すると、とても居心地が悪いです。「上手い」と称されているひとが「セリフをそれっぽく言うことに長けている」だけで、ちっとも魅力的でないこともザラにありますし。閑話休題。
学生たちはみんな下手なんですよ、基本的に。技術も経験もないから。それがプロフェッショナルの俳優と同じように出来るわけがない。でも、そのまま舞台も何も経験しなかったら下手なまんまだから、進級公演とか卒業公演とか、そういうものがあるわけです。
じゃあ、そういう「経験が浅くて出来ることが少ないひとたち」を舞台に上げるとき、最低限持たせてあげないといけないものって何なのか。これは難しい問いかけです。なぜなら、与えられた環境によっても変わってきますからね。
理想を言えば、3~4年間かけて一人で一クラスを受け持って、予算もスペースも指導者も潤沢で、みっちり基礎をやりこんで土台を作り、いろいろな実験を経て応用力を付け、ギリシャ悲劇からシェイクスピア、平田オリザや岡田利規までやって、チェーホフやアーサー・ミラーに行く、みたいなことができりゃ、そりゃあんま考えなくてもいいですが、この国にはそんな桃源郷的演劇学校はございません。わたしは不勉強で知らないだけかもしれないので、ご存知だったら教えてください。
新国の研修所でも、円の研究所でも、ENBUゼミでも、ヒューマンアカデミー横浜でも、限られた時間と資源の中で、最大の成果を求められるわけです。
気分は「大戦末期に学徒出陣を見送る教官」みたいな場合もあります。大丈夫って顔しながら、内心は準備不足に臍を噛んでいる。みたいな。
たとえどんな状況であっても、現実に目の前にいる学生や、その公演を観に来る方々のために、出来る限りの成果を出したいと思います。
そこで「最低限持たせてあげないといけないものって、なんだろうな」て思考にいくんです。その環境によって、最低限の線引が変わってくるんですよね。だって、時間や対象によって、スタート地点も、出来ることも、違ってきますからね。
「人前で演じる」てことは、特別な行為です。そして「上演芸術」には様々な種類があります。その全てに対応するのが「俳優」です。私の基本はマイズナー・テクニックですから、関係性の演劇を通じて基礎を伝えるわけです。いつもそこから出発してました。
そしていまは、それ以前に「人前に立つ」という部分で、乗り越えなければならないものがあるんじゃないかな、それをしっかり伝えて、出来るように、というか、在れるようにしておかないといけないんじゃないかな。と考えています。
「人前に立つ」ために最低限必要なこと。いまわたしが演劇について考えていることです。もし、その答えを知っていたら教えてください。
とはいえ。
ヒューマンアカデミー横浜のみんなも、ここ何日かの稽古でぐんぐん伸びてます。楽しんでくれるといいな、と思います。舞台の上で作品をつくるって、とっても素敵で、何より楽しい遊びだから。しかつめらしくしてたって、面白くないじゃない。本人も、見ている人もね。ふざけるんじゃなくて、満喫してほしいな、て思います。
明日はSTスポットに小屋入りです。数々の伝説的な作品が生まれ、現役で活躍するアーティストを多数生み出してきた場所です。敬意を持って、その場の力を取り込んで、楽しんでもらいたい。
授業してます:ヒューマンアカデミー横浜校パフォーミングアーツカレッジ進級公演「花のゆりかご、星の雨」3月26日(土)〜28日(月)at STスポット
http://handsomebu.blog.jp/archives/52366389.html
再来週はもうレパートリーの公演らしい。2月に横浜でやっての再登場だからパワーアップすると思うよ。
時間堂レパートリーシアター:4月15日(金)16日(土)『人の気も知らないで』『ロミオ中止』at 十色庵
http://handsomebu.blog.jp/archives/52365685.html
ところで。
最近ヒザイミズキが、時間堂ブログでわたしについて書いてくれたので、紹介します。
黒澤世莉という人。:時間堂blog
http://blog.livedoor.jp/jtc2009/archives/2010202.html
ありがたいことです。
【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html
2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】
【時間堂ソシオ(共同運営者)募集】時間堂主催公演の全演目がご覧いただけます。ともに文化をつくりましょう。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52360535.html
ヒューマンアカデミー横浜のことを書こうか、フラット化にこだわる自分の思考のパターンについて書こうか悩みつつ書き始めました。
俳優指導の現場で若い方々に接していると、色々な学びがあります。社交辞令じゃなくてほんとにね。いまは「俳優として舞台に立つとき、最低限持っていなければいけないものは何か」ということを考える機会をもらっています。
俳優なり声優なりを学び始めた初年度に上手になるわけはないです。
そもそも演技において「上手い下手」というのは、実は私にはよく分かりません。「魅力的か否か」とか「説得力があるかないか」なら分かりますが、上手下手に関してはやればやるほど分からなくなります。だから「○○は演技が上手い」みたいな言説に接すると、とても居心地が悪いです。「上手い」と称されているひとが「セリフをそれっぽく言うことに長けている」だけで、ちっとも魅力的でないこともザラにありますし。閑話休題。
学生たちはみんな下手なんですよ、基本的に。技術も経験もないから。それがプロフェッショナルの俳優と同じように出来るわけがない。でも、そのまま舞台も何も経験しなかったら下手なまんまだから、進級公演とか卒業公演とか、そういうものがあるわけです。
じゃあ、そういう「経験が浅くて出来ることが少ないひとたち」を舞台に上げるとき、最低限持たせてあげないといけないものって何なのか。これは難しい問いかけです。なぜなら、与えられた環境によっても変わってきますからね。
理想を言えば、3~4年間かけて一人で一クラスを受け持って、予算もスペースも指導者も潤沢で、みっちり基礎をやりこんで土台を作り、いろいろな実験を経て応用力を付け、ギリシャ悲劇からシェイクスピア、平田オリザや岡田利規までやって、チェーホフやアーサー・ミラーに行く、みたいなことができりゃ、そりゃあんま考えなくてもいいですが、この国にはそんな桃源郷的演劇学校はございません。わたしは不勉強で知らないだけかもしれないので、ご存知だったら教えてください。
新国の研修所でも、円の研究所でも、ENBUゼミでも、ヒューマンアカデミー横浜でも、限られた時間と資源の中で、最大の成果を求められるわけです。
気分は「大戦末期に学徒出陣を見送る教官」みたいな場合もあります。大丈夫って顔しながら、内心は準備不足に臍を噛んでいる。みたいな。
たとえどんな状況であっても、現実に目の前にいる学生や、その公演を観に来る方々のために、出来る限りの成果を出したいと思います。
そこで「最低限持たせてあげないといけないものって、なんだろうな」て思考にいくんです。その環境によって、最低限の線引が変わってくるんですよね。だって、時間や対象によって、スタート地点も、出来ることも、違ってきますからね。
「人前で演じる」てことは、特別な行為です。そして「上演芸術」には様々な種類があります。その全てに対応するのが「俳優」です。私の基本はマイズナー・テクニックですから、関係性の演劇を通じて基礎を伝えるわけです。いつもそこから出発してました。
そしていまは、それ以前に「人前に立つ」という部分で、乗り越えなければならないものがあるんじゃないかな、それをしっかり伝えて、出来るように、というか、在れるようにしておかないといけないんじゃないかな。と考えています。
「人前に立つ」ために最低限必要なこと。いまわたしが演劇について考えていることです。もし、その答えを知っていたら教えてください。
とはいえ。
ヒューマンアカデミー横浜のみんなも、ここ何日かの稽古でぐんぐん伸びてます。楽しんでくれるといいな、と思います。舞台の上で作品をつくるって、とっても素敵で、何より楽しい遊びだから。しかつめらしくしてたって、面白くないじゃない。本人も、見ている人もね。ふざけるんじゃなくて、満喫してほしいな、て思います。
明日はSTスポットに小屋入りです。数々の伝説的な作品が生まれ、現役で活躍するアーティストを多数生み出してきた場所です。敬意を持って、その場の力を取り込んで、楽しんでもらいたい。
授業してます:ヒューマンアカデミー横浜校パフォーミングアーツカレッジ進級公演「花のゆりかご、星の雨」3月26日(土)〜28日(月)at STスポット
http://handsomebu.blog.jp/archives/52366389.html
再来週はもうレパートリーの公演らしい。2月に横浜でやっての再登場だからパワーアップすると思うよ。
時間堂レパートリーシアター:4月15日(金)16日(土)『人の気も知らないで』『ロミオ中止』at 十色庵
http://handsomebu.blog.jp/archives/52365685.html
ところで。
最近ヒザイミズキが、時間堂ブログでわたしについて書いてくれたので、紹介します。
黒澤世莉という人。:時間堂blog
http://blog.livedoor.jp/jtc2009/archives/2010202.html
ありがたいことです。
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【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html
2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】
【時間堂ソシオ(共同運営者)募集】時間堂主催公演の全演目がご覧いただけます。ともに文化をつくりましょう。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52360535.html
【演出します】
時間堂レパートリーシアター【2016.3】 『巨大なウェディング・ケーキ』『ヂアロオグ・プランタニエ』
2016年3月18日(金)・19日(土) at 十色庵
【次回本公演】「ゾーヤ・ペーリツのアパート」2016年7月29日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/
【ワークショップ情報】2月3月
http://handsomebu.blog.jp/archives/52363216.html
時間堂レパートリーシアター【2016.3】 『巨大なウェディング・ケーキ』『ヂアロオグ・プランタニエ』
2016年3月18日(金)・19日(土) at 十色庵
【次回本公演】「ゾーヤ・ペーリツのアパート」2016年7月29日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/
【ワークショップ情報】2月3月
http://handsomebu.blog.jp/archives/52363216.html