呪術師こと黒澤世莉です。
先日の時間堂レパートリーシアター3月に、ポストパフォーマンストークのトークゲストとしてきていただいた倉迫康史さん。Theatre Ort(シアター・オルト)主宰・演出。たちかわ創造舎チーフ・ディレクターです。そのときのはなしが面白かったので紹介します。
上演したふたつのうちのいち作品、谷川俊太郎「巨大なウェディング・ケーキ」は、一人の女性の高校生、中年、初老と移り変わっていく人生の物語です。三幕構成で、一幕は母に出て行かれた父と娘、二幕は娘の20年後と恋人に子供が出来るはなし、三幕は母になった娘とその息子の大学生。二人芝居で菅野貴夫とヒザイミズキが演じました。実際には登場しない、出ていった母親が隠れた主人公となっている作品です。これついて倉迫さんが「主人公の女性は呪われているのだけど、呪われた人生だっていいじゃない、と思えた」という旨のコメントをされていました。
ヒザイミズキも書いてたけど、これにはわれわれ時間堂びっくりしました。つくっている側は「なかなか素直になれずに人生で一番ほしい物が手に入らなかったひと」のはなしだと思ってましたからね。そんな、彼女の人生を肯定的に観られるとびっくりします。
こういう視点の違いは良し悪しじゃなくって、こちらの決断と行動、その結果として提示される作品と、受信者の認識の違いってのは当然あるわけです。その差異や特異点についてのはなしが健全にできる、対象作品とか場があるってのは、いいもんだなと思います。閑話休題。
でまあ、何らかの呪いがかかっているような状態じゃないと、演劇なんて続けられないだろうと、いうような話も出ました。たしかに作品を発表し続ける情熱、集団や場所を維持する情熱てのは、呪いや狂気がないと続かないもんだとは思います。
このはなしの途中で、倉迫さんの血の噴き出るようなエピソードが連発するのですが「SNSやBlogにはくれぐれも書いてくれるなよ」とおっしゃっていましたので、ここでは伏せさせていただきます。くわしいことは本人に聞いてね。
倉迫康史 : twitter
https://twitter.com/kjkurasako
そういうわけで、残念ながらそのへんの美味しい部分はわたくし書けませんので、自分のはなしで勘弁してください。
「呪い」というのが2016年のわたしのキーワードのひとつに入ってます。いままで呪いなんてまったく意識してこなかったんですが、去年くらいから「あ、おれ世界呪ってるな」て思ったんですね。いままでは「呪われる」で、わたしは「呪う」です。えらそうに言うことじゃないけど。
「呪う」とか「呪われる」とか「ガダラの豚」かよ、て話ですけど、そんなことまったく考えたことなかったのに、ここ一、二年できゅうに引っかかる言葉になってきました。最初のうちは「呪いとかダメだろ」て思ってたんですけど、そのうち「あー、これ、呪いだわ」みたいに認識することが増えましたね。
先ほど、演劇は呪いや狂気がないと続かない、みたいに書きましたけど、わたし個人としては、そういう演劇との向き合い方は避けたいなあと思っていて「好きだから付き合う」みたいな付き合い方をしたいと思ってます。自分では自分が呪われているかとか、狂気かとか分からないっていうか、自分は普通のひとだと思っているので、普通でもやれるぞってところでやりたいと思ってます。
正確に言うと、思ってました。
わたしは、自分の演劇に対する情熱の欠如を感じます。それは愛が足りないのか、それとも呪いや狂気が足りないのか、わかりません。
で、そういうふうに自分がなってしまう世界を、呪っているのが今です。
自分がなにかに呪われているかどうかは別として、自分が何かを呪っている状況ってのは、これは結構不幸な状態なんじゃないかな、と思っています。
なので「世界を呪う」というステータスから抜け出したいのですが、「世界は喜びに満ちているよね」みたいなサッチモみたいなこと急に言い出してもうさんくさいですからね。いやサッチモみたいになりたいんですけど、たぶんそれは「世界を呪う自分」を肯定する作業からしか始まらないんじゃないかな、て思ってます。
勘ですが。
そういうわけで、世界を呪う黒澤世莉ですが、倉迫さんに「呪われた人生だって、いいじゃない」て言われて、なんとなく呪いとともにあるのも悪くないのかもね、なんて思ったよ、ていうお話でした。
そんなたのしいトークも聞ける時間堂レパートリーシアター at 十色庵、4月15日(金)16日(土)『人の気も知らないで』『ロミオ中止』の二本立てですよ。お楽しみに。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52365685.html
作品観て語り合いましょうや。
【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html
2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】
【時間堂ソシオ(共同運営者)募集】時間堂主催公演の全演目がご覧いただけます。ともに文化をつくりましょう。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52360535.html
先日の時間堂レパートリーシアター3月に、ポストパフォーマンストークのトークゲストとしてきていただいた倉迫康史さん。Theatre Ort(シアター・オルト)主宰・演出。たちかわ創造舎チーフ・ディレクターです。そのときのはなしが面白かったので紹介します。
上演したふたつのうちのいち作品、谷川俊太郎「巨大なウェディング・ケーキ」は、一人の女性の高校生、中年、初老と移り変わっていく人生の物語です。三幕構成で、一幕は母に出て行かれた父と娘、二幕は娘の20年後と恋人に子供が出来るはなし、三幕は母になった娘とその息子の大学生。二人芝居で菅野貴夫とヒザイミズキが演じました。実際には登場しない、出ていった母親が隠れた主人公となっている作品です。これついて倉迫さんが「主人公の女性は呪われているのだけど、呪われた人生だっていいじゃない、と思えた」という旨のコメントをされていました。
ヒザイミズキも書いてたけど、これにはわれわれ時間堂びっくりしました。つくっている側は「なかなか素直になれずに人生で一番ほしい物が手に入らなかったひと」のはなしだと思ってましたからね。そんな、彼女の人生を肯定的に観られるとびっくりします。
こういう視点の違いは良し悪しじゃなくって、こちらの決断と行動、その結果として提示される作品と、受信者の認識の違いってのは当然あるわけです。その差異や特異点についてのはなしが健全にできる、対象作品とか場があるってのは、いいもんだなと思います。閑話休題。
でまあ、何らかの呪いがかかっているような状態じゃないと、演劇なんて続けられないだろうと、いうような話も出ました。たしかに作品を発表し続ける情熱、集団や場所を維持する情熱てのは、呪いや狂気がないと続かないもんだとは思います。
このはなしの途中で、倉迫さんの血の噴き出るようなエピソードが連発するのですが「SNSやBlogにはくれぐれも書いてくれるなよ」とおっしゃっていましたので、ここでは伏せさせていただきます。くわしいことは本人に聞いてね。
倉迫康史 : twitter
https://twitter.com/kjkurasako
そういうわけで、残念ながらそのへんの美味しい部分はわたくし書けませんので、自分のはなしで勘弁してください。
「呪い」というのが2016年のわたしのキーワードのひとつに入ってます。いままで呪いなんてまったく意識してこなかったんですが、去年くらいから「あ、おれ世界呪ってるな」て思ったんですね。いままでは「呪われる」で、わたしは「呪う」です。えらそうに言うことじゃないけど。
「呪う」とか「呪われる」とか「ガダラの豚」かよ、て話ですけど、そんなことまったく考えたことなかったのに、ここ一、二年できゅうに引っかかる言葉になってきました。最初のうちは「呪いとかダメだろ」て思ってたんですけど、そのうち「あー、これ、呪いだわ」みたいに認識することが増えましたね。
先ほど、演劇は呪いや狂気がないと続かない、みたいに書きましたけど、わたし個人としては、そういう演劇との向き合い方は避けたいなあと思っていて「好きだから付き合う」みたいな付き合い方をしたいと思ってます。自分では自分が呪われているかとか、狂気かとか分からないっていうか、自分は普通のひとだと思っているので、普通でもやれるぞってところでやりたいと思ってます。
正確に言うと、思ってました。
わたしは、自分の演劇に対する情熱の欠如を感じます。それは愛が足りないのか、それとも呪いや狂気が足りないのか、わかりません。
で、そういうふうに自分がなってしまう世界を、呪っているのが今です。
自分がなにかに呪われているかどうかは別として、自分が何かを呪っている状況ってのは、これは結構不幸な状態なんじゃないかな、と思っています。
なので「世界を呪う」というステータスから抜け出したいのですが、「世界は喜びに満ちているよね」みたいなサッチモみたいなこと急に言い出してもうさんくさいですからね。いやサッチモみたいになりたいんですけど、たぶんそれは「世界を呪う自分」を肯定する作業からしか始まらないんじゃないかな、て思ってます。
勘ですが。
そういうわけで、世界を呪う黒澤世莉ですが、倉迫さんに「呪われた人生だって、いいじゃない」て言われて、なんとなく呪いとともにあるのも悪くないのかもね、なんて思ったよ、ていうお話でした。
そんなたのしいトークも聞ける時間堂レパートリーシアター at 十色庵、4月15日(金)16日(土)『人の気も知らないで』『ロミオ中止』の二本立てですよ。お楽しみに。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52365685.html
作品観て語り合いましょうや。
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【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html
2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】
【時間堂ソシオ(共同運営者)募集】時間堂主催公演の全演目がご覧いただけます。ともに文化をつくりましょう。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52360535.html
【演出します】
時間堂レパートリーシアター【2016.3】 『巨大なウェディング・ケーキ』『ヂアロオグ・プランタニエ』
2016年3月18日(金)・19日(土) at 十色庵
【次回本公演】「ゾーヤ・ペーリツのアパート」2016年7月29日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/
【ワークショップ情報】2月3月
http://handsomebu.blog.jp/archives/52363216.html
時間堂レパートリーシアター【2016.3】 『巨大なウェディング・ケーキ』『ヂアロオグ・プランタニエ』
2016年3月18日(金)・19日(土) at 十色庵
【次回本公演】「ゾーヤ・ペーリツのアパート」2016年7月29日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/
【ワークショップ情報】2月3月
http://handsomebu.blog.jp/archives/52363216.html