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黒澤世莉です。

成熟した物語を映画で観られて幸せです。むしろ9月1日の映画の日に観るものがない。ポップカルチャーやエンタメだけじゃない、成熟した物語をたくさん摂取したいなあ。
みたいなことを最近のブログで書いたので、その続きを書きます。とうのエントリはこれね。

暴力で解決できる問題は少ない。答えの出ない問いにどう答えるのか「アメリカン・スナイパー」「グラン・トリノ」
http://handsomebu.blog.jp/archives/52344591.html

ここで書いた成熟とかポップカルチャーとかエンタメとか、っていうのは平行して成立もしうる価値観だとは思う。

むかーし鴻上尚史さんがエッセーで「若者の演劇を見てると『ああ、この葛藤はむかし通り過ぎたやつだな』と思う場合がある」みたいなことを書かれてたかと思うのだけど、そんな感じに思うことが多々ある。これは「本質」の問題であって「スタイル」の問題ではない。ポップなスタイルでも「本質の成熟」を感じるときもあれば、スタイルは古風でも「若々しい本質の捉え方だなあ」て思う場合もある。

個人的には「自己の実存の問題」が「本質の問題」としてつくられていると、若々しいなあ、て思って、あんまり入り込めなくなる場合が多い。台本や演出か、どちらかがそこを突破していればまだ観られるが、どちらも「自己の実存の問題」から抜けられてないと、退屈する可能性が高まる。

一方で、思いっきりエンタメに振って、それこそ「本質?ねえよ!」くらいまで振ってくれれば、それはもう、あとはクオリティの問題なので、心置きなく楽しめる。楽しめるのだが、わたしはもっと「成熟した本質を描いた物語」が見たいのであって、エンタメ振り切りはそんなに求めてない。ちなみに「マッドマックス怒りのデスロード」は、エンタメと成熟を高いレベルで両立出来てる気がする。

すこし話はずれるんだけど、シンプルに感情のやりとりをする演劇に対して「幼稚」ていう論評をされたことがあって、狙いがうまくいっていないことにほぞを噛んだことがある。「感情をシンプルにやりとりする」ことにたいして「幼稚」と思われてしまうのは、演出の敗北である。少なくとも意図とはだいぶ違う取られ方だから、それ以来そうとう気をつけるようになった。

閑話休題。

「成熟した物語」てなんだよ、てはなしになると、これはけっこうなんでもよくて、多分「孤独な人間が世界といかに対峙するか」みたいなことに届いてればいいんだと思う。勧善懲悪とかでも、がんばればいけるし、エンタメでもポップカルチャーでもいける。ただ、スタイルの問題じゃなく、深め方の問題で届いていないことが多いんじゃないかねえ、と思うのですね。

個人的な印象ですけど、小説やマンガはわりかし成熟してる気がするんですよね。競争が激しいからでしょうか。あるいはわたしがそういう作品ばかり読んでるからでしょうか。そういえば小説は新刊は読んでないです。新刊一杯読むとあんまそういうふうに思わなくなるのかな。でもマンガは新刊結構読んでますよ。

あと、年齢はあんまり関係ないと思うんですよね。わたし十代の頃から、アイドルとかポップカルチャーにあんまり興味なくて、小津安二郎の映画見てしたり顔してた口です。まあつまんないなーて思ってましたけど。当時はね、当時は。今見ると面白いんで、そこは歳とりましたねえ。なんで、年食ったら成熟するとか、若いと未熟とか、てはなしでも無い気がするんだよねえ。

自分が「成熟した物語」とか「骨太なドラマ」みたいなものを求めるので、自分のような変なものを求めるめずらしい観客のみなさまのために、そういうかたが100人に1人とかでもいいんで、そういうひとにちゃんと喜んで貰える作品を、わたしはつくりますよ、て思います。

あと、そういう作家がいっぱい増えてくれるといいなあ、と個人的には思うんですが、観たいし。でも大多数の観客のみなさまに受けるかっていわれるとあんまり自信ないなあ。。。でも「スタイル」に左右されている方が多い気がするので、本質が深くなったって人気はそれほど関係ないか。。。とも思う。

若々しさ礼賛、みたいな風潮をたまーに感じるのだけど、それいっぺんとうなのはどうかと思うよわたしゃ。

さて、明日はアドバンストクラス、まだ募集中だよ、条件満たしている方おいでませ。集中クラスも明日〆切です、まよってるかたあと若干名OKですので、飛び込んできてください。

____________________おしらせ____________________

俳優:演技集中クラス[2015年9月] ※締切延長8月31日(月)24時まで
http://jikando.com/workshop/486-201509syutyu.html

ワークショップ情報
http://jikando.com/workshop.html

[演技:ベーシッククラス]
9月 7日(月) 19:00〜22:00
9月 12日(土) 13:00〜16:00
9月 14日(月) 19:00〜22:00
9月 21日(月) 19:00〜22:00

[演技:アドバンストクラス]
8月 31日(月) 19:00〜22:00
9月 19日(土) 19:00〜22:00

[だれでも:演劇体験クラス]
9月 19日(土) 13:00〜15:00

黒澤世莉 (時間堂・演出家) のプロフィールはこちら
http://jikando.com/member/seri.html

【演出します】高校生と創る演劇「赤鬼」
2015/11/7~8 at 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
http://www.toyohashi-at.jp/

時間堂がつくった、演劇をみるつくる体験する場所「toiroan 十色庵」リノベーションの記録。気軽に遊びに来て下さい
https://note.mu/jikando