本日2012年7月20日金曜日。時間堂「ローザ」全国ツアーにいよいよ出発する。時間堂で地域公演をやりたいというのは10年前からの目標なので、とてもうれしい。全公演が無事終演し、関係者全員がおうちに帰るまでうれしがっている場合ではないのだが、旅立ち前の高揚感は抑えがたい。ここ数日は、青森でのワークショップ出張も含めて、浮かれているというか、浮き足立っているというか、とにかく楽しいことは間違いない。
出発前の正直な心境をブログに記しておこう、と思ったものの、それほど書きたいことがないというか、書きたいことがないなんてことは全然ないんだけど、それ以上に意識が朦朧としてきたというか、実はまだ荷造りが中途半端なこととかやらねばならないこととかで気もそぞろになっているというか、助走をつけるためにキーボードを前に止まっている間、意識に上がってくるものを書いてみた。
せり荘から今の家に引っ越してきて、この8月でちょうど二年になる。この二年で初めて、雨戸を閉める。この二年で初めて、部屋に鍵をかけて出かける。大家さんにメールして、家賃の支払いが遅れると言わないと。と思っていたら、不動産屋さんから契約更新の資料が届いて、これは東京に戻ってこないと出来ないのだろうが、困ったことになった。7月20日から8月18日くらいまで、時間堂「ローザ」全国ツアーと、奈良県天川村での滞在制作「MSP2012」で東京に帰れない。でも荷物はカバンひとつに収める。足りなければ買えばいいし、足りないなんてことは結構無いものだ。
といいつつ、とある仕事で一回どこかで東京に戻らなければならないという噂もちらほら聞こえてきている。ありがたいことだが困った。
時間堂「ローザ」全国ツアーの演劇公演としての魅力とか覚悟を語るほうがひとの興味を引くのだろうけど、もうそんなもの、念願で初めて全国ツアーが劇団員のみ出演で自分が書き下ろした新作台本っていうので、覚悟がないわけない。一歩間違えば全滅だ、全滅しないけど。ただ覚悟というものについて、各地域で協力してくださっている皆様、期待をかけてくださっている皆様の期待に答える、という荷物はしっかり背負わせていただいて、力にさせていただいている、とは言える。これは東京では感じたことのない経験。
作品の魅力についてだったら幾ばくか語れるだろうか。四人の登場人物が、クルクルと役柄を変えていくことは枝葉で、背骨は、と書いたところで止まってしまった。書きたいことがないというより、作品のことより演劇のことになっちゃうなと思って。
「ローザ」は時間堂の演劇のマスターピース。シンプルなやり取りがいかに魅力的か、お分かりいただけるかと思う。台本に潜んでいる情動を俳優が交換することによって、観客はえらい遠いところまでぶっ飛んでいける。
演劇の魅力が作品の魅力と深く結びついている。相互に補完し合う関係で、どちらが大事とかはない。毎回勇敢に新鮮さを選択する俳優たちだけが、観客に愛される資格を持つし、上手い下手はともかく、勇敢さだけは劇場をいっぱいにするだけ持っていく。それが結局「ローザ」という作品が、人間の想像力の限界を超えることは可能なのか、という渦に観客を巻き込めるかどうかにつながってくる。だから演劇のことを語ることが、ローザという作品を語ること、なのだ。
作品にいろいろご意見いただくことはありがたいので、好きに言ってくれればいい。誰が何と言っても、私はこの作品が好きだし、この作品に出ている四人が好きだ。私が好きなこの作品が、誰かにとってかけがえのない作品になってくれれば、こんなに有難いことはない。
東京公演に比べて、余裕があるやり取りになってきた。余白が埋まってきた。そこに、東京で培った熱量と、殺意と、同調を混在させて反応をおこせば、とても素敵になるだろう。
早く静岡の、仙台の、福岡の、大阪の、津の観客と出会いたい。いまからうずうずする。まず、明日の静岡公演、全国ツアー初日。そして今日は、ていうかツアーの間は私は主に運転手として活躍する予定で、出発は本日10時つまりもう4時間30分後であり、寝不足は運転の大敵であるので、完全に何かを失敗しているのであるが、劇団員の人生を預かる主宰である前に、同乗者の命を預かるドライバーとしての、責務を全うするために寝たいと思う。
おやすみ。
出発前の正直な心境をブログに記しておこう、と思ったものの、それほど書きたいことがないというか、書きたいことがないなんてことは全然ないんだけど、それ以上に意識が朦朧としてきたというか、実はまだ荷造りが中途半端なこととかやらねばならないこととかで気もそぞろになっているというか、助走をつけるためにキーボードを前に止まっている間、意識に上がってくるものを書いてみた。
せり荘から今の家に引っ越してきて、この8月でちょうど二年になる。この二年で初めて、雨戸を閉める。この二年で初めて、部屋に鍵をかけて出かける。大家さんにメールして、家賃の支払いが遅れると言わないと。と思っていたら、不動産屋さんから契約更新の資料が届いて、これは東京に戻ってこないと出来ないのだろうが、困ったことになった。7月20日から8月18日くらいまで、時間堂「ローザ」全国ツアーと、奈良県天川村での滞在制作「MSP2012」で東京に帰れない。でも荷物はカバンひとつに収める。足りなければ買えばいいし、足りないなんてことは結構無いものだ。
といいつつ、とある仕事で一回どこかで東京に戻らなければならないという噂もちらほら聞こえてきている。ありがたいことだが困った。
時間堂「ローザ」全国ツアーの演劇公演としての魅力とか覚悟を語るほうがひとの興味を引くのだろうけど、もうそんなもの、念願で初めて全国ツアーが劇団員のみ出演で自分が書き下ろした新作台本っていうので、覚悟がないわけない。一歩間違えば全滅だ、全滅しないけど。ただ覚悟というものについて、各地域で協力してくださっている皆様、期待をかけてくださっている皆様の期待に答える、という荷物はしっかり背負わせていただいて、力にさせていただいている、とは言える。これは東京では感じたことのない経験。
作品の魅力についてだったら幾ばくか語れるだろうか。四人の登場人物が、クルクルと役柄を変えていくことは枝葉で、背骨は、と書いたところで止まってしまった。書きたいことがないというより、作品のことより演劇のことになっちゃうなと思って。
「ローザ」は時間堂の演劇のマスターピース。シンプルなやり取りがいかに魅力的か、お分かりいただけるかと思う。台本に潜んでいる情動を俳優が交換することによって、観客はえらい遠いところまでぶっ飛んでいける。
演劇の魅力が作品の魅力と深く結びついている。相互に補完し合う関係で、どちらが大事とかはない。毎回勇敢に新鮮さを選択する俳優たちだけが、観客に愛される資格を持つし、上手い下手はともかく、勇敢さだけは劇場をいっぱいにするだけ持っていく。それが結局「ローザ」という作品が、人間の想像力の限界を超えることは可能なのか、という渦に観客を巻き込めるかどうかにつながってくる。だから演劇のことを語ることが、ローザという作品を語ること、なのだ。
作品にいろいろご意見いただくことはありがたいので、好きに言ってくれればいい。誰が何と言っても、私はこの作品が好きだし、この作品に出ている四人が好きだ。私が好きなこの作品が、誰かにとってかけがえのない作品になってくれれば、こんなに有難いことはない。
東京公演に比べて、余裕があるやり取りになってきた。余白が埋まってきた。そこに、東京で培った熱量と、殺意と、同調を混在させて反応をおこせば、とても素敵になるだろう。
早く静岡の、仙台の、福岡の、大阪の、津の観客と出会いたい。いまからうずうずする。まず、明日の静岡公演、全国ツアー初日。そして今日は、ていうかツアーの間は私は主に運転手として活躍する予定で、出発は本日10時つまりもう4時間30分後であり、寝不足は運転の大敵であるので、完全に何かを失敗しているのであるが、劇団員の人生を預かる主宰である前に、同乗者の命を預かるドライバーとしての、責務を全うするために寝たいと思う。
おやすみ。