「ハンサム部」こと旅する演出家:黒澤世莉blog

Director Seri Kuroawa's blog / 旅する演出家 黒澤世莉のblog

カテゴリ: 読書

ソビエト現代劇集 (1981年)

これまた面白かった。このとき北区中央図書館から借りた戯曲はあたり続きだった。やるな北区中央図書館。

うわさのブルガーコフ、やはり面白い。

もちろん教条主義的、啓蒙的な匂いも感じるけど、それは本質ではないと思う。ドラマはどんな社会のものとで生まれうる。

共産主義に対して苛烈な抵抗を示してた時代の作品を多く読んでいた(ハリウッドの反逆とかアーサー・ミラー自伝とか)ので、価値観全体がぐるりんと逆の視点に移される感じは、爽快でもあり、気持ち悪くもあって、車酔いみたいな気分になった。

フラッティ戯曲集」マリオ・フラッティ

面白い。珠玉の4作品。ぜひ他の作品も読んでみたい。
イタリア人だけどニューヨーク生活が長いようで、現代アメリカにうっすらカトリックの味わいが感じられる。

「橋」はストップ自殺モノ(そんなジャンルないけど)で、類型としてはよくある話なんだけど、ディティールが秀逸。こういう、一般的なモチーフにこそ作家の味が滲みでると思ってるので、しびれた。

マリオ・フラッティ自身は他にも書いているようだけど、日本語訳されているものは少なそう。イタリア語じゃなかったことが救いかしらね。



リリアン・ヘルマンの最初の戯曲。良くできたストレートなドラマで、好みに合っていて面白かった。

怪物のような、でも実は普通の子供が、アーサー・ミラー「るつぼ」と重なって読める。問題は子供の暴走だけではなく、その嘘を見抜けない大人にもある。けれど愛や守護の義務を負うとき、はたして子供の嘘を見抜けるかというと、困難だろう。さすが、よく出来てる。

最近読んでいる戯曲群が男性中心、女性少なめなので、男性一人っていうのが新鮮に思えた。あと女は怖いと思った。

リリアン・ヘルマンはこれが初めてだったけど、引き続き読んでいきたい。

アゴタ・クリストフが2011年7月26日に亡くなった。この訃報と前後して、小松左京、レイハラカミ、伊良部秀輝も亡くなった。

アゴタ・クリストフは「悪童日記」で有名な亡命ハンガリー人作家で、読書好きには有名。もういい年だとわかっていたし、新作がバンバン出る作家でもなかったし、それほど興味があると思ってなかったんだけど、亡くなったと聞いて、他のいろんな訃報があるにも関わらず、彼女のことばかり気になった。どうやら好きだったみたい。




というわけで戯曲集「怪物」と「伝染病」を読んだ。それぞれ5編、4編の短編戯曲が収められている。戯曲は小説とは違って、不条理や、現実から浮遊したようなものが多い。書かれた年代としては70年代から80年代で、悪童日記よりだいぶん前になる。

「怪物」と「贖い」「ジョンとジョー」「星々を怖れよ」はもともと好きで、相変わらずいいなあと思って読んだ。「エレベーターの鍵」はゾッとするというか、こういうの苦手で気持ち悪くなってしまう。昔はあまりピンと来なかった「道路」「鼠が通る」「伝染病」「灰色の女あるいは最後の客」も、新しい発見があって、面白く読めた。

とくに「怪物」は、未知の怪物と原始的な部族の物語で、もともと好きだったのだけど、いま読むと非常に身につまされる。以前は怪物を政治的、文明的な文脈で怪物を捉えたけど、いまとなっては原発としか思えない。しかも劇中での怪物は突然現れているが、現実の怪物は人間が自らつくり出してしまったのだ。あまり書くとネタバレになってしまうので、このへんで。

いま上演するなら「怪物」しかない。

翻訳をされてる堀茂樹さんがTwitterにいらっしゃいますよ。
http://twitter.com/hori_shigeki

「悪童日記」を翻訳して出版社に直接持ち込んで出版に漕ぎ着けた方です。いま日本語でアゴタ・クリストフの作品群が読めるのは堀さんのおかげです。しかも、戯曲集は(後書きによれば、なので今は違うかもしれませんが)フランス語でも発売されてないそうなので、日本語でしか出版されてないそうです。ウッヒャーそんなことあるの、て感じですよね。堀さん、ありがとうございます。



1900年代初頭の、ちょっと不条理やファンタジー風味が入ってる、風刺の効いた大作がたくさん。うーん、面白い作品もあるけど、好みからすると冗長で退屈な部分が多かった。

でも、手元に置いておいてまた読みたい作品群ではある。一読じゃ捉え切れない分量と深みはある。

「マクロプロス事件」が面白かった。

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カート・ヴォネガット「さよならハッピー・バースディ
」が面白かった。ヴォネガット戯曲書いてたのねえ。

マッチョアメリカン、でもアメリカン人じゃなくてマッチョなら何でもよくて、マッチョでさえなくてよくて。ひとの悲哀というか、大切なものを自分で傷つけてしまう、見えっ張りな愚か者を、あたたかく描いてる。

時代遅れになってしまうって、悲しいけど、誰の身にも起こることよね。

マーガレット・エドソンの初戯曲ということで、初めてこの作家の作品を読む。



ドラマなんだけど、シーンにレイヤーをかけて重層的、立体的に進んでいく。

あっさりした表現がテンポよく読ませるけど、ときとしてそれが残酷になる。
末期がんを患った中年女教授が主人公だから、医療者のサバサバ感は頼もしくも恐ろしくもなる。

長年研究してきたジョン・ダンの詩を背景に、死への一本道を淡々と歩いて行く主人公なんだけど、
鉄の女と呼ばれて事実たくましい彼女が、見失ったものや気づいたものがいちいち愛おしい。

死から逃れることはできないけれど、死に方は選べる。
おすすめ。

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あと最近読んだ戯曲、
「ダウト」ジョン・パトリック・シャンリィ


さすがジョン・パトリック・シャンリィ、深いドラマを見やすく書いている。

キリスト教系の学校を舞台に、聖職者の教師3人と保護者1人の計4人が登場。
一人の男子生徒をめぐって、なにが真実か、なにが嘘か、そしてなにが罪なのかを探り合う。
簡単で単純な答えのない問題にするどく斬り込む手際は見事。
それなのにとても読みやすいし、演じるのも(キリスト教や人種問題というというハードルはあれど比較的)入りやすいだろう。

練習戯曲としてもいいと思う。

あと「イギリス一幕劇集」も読んだ。
中身は「顧問弁護士」 「ランチ・アワー」「手荷物をお忘れなく」ジョン・モーティマー「窓」フランク・マーカス「アーニーの超幻覚症状」アラン・エイクボーン「階段の悪党」ジョー・オートン。1950年代から60年代の作品集。
つまらなくはなかったけど、不条理寄りが多くって、あんまり好みにあわんでした。



導入は読みやすさもあって薄い印象。読み進めるとちょっと腑に落ちてくる面白さ。

甘さ控えめのミルフィーユみたいな小説。失楽園を上品にした感じ、失楽園読んだことないけど。違うか、あれはヤンチャしそこなった中年が今バカをやるはなしで、こっちはヤンチャした中年が今を捉え直すはなし。あ、ぜんぜん違うね。重ねて言うと失楽園読んだことないのでイメージで書いてます。

タイトルが甘ったるすぎるなあ。でもタイトルで読んだのでまあそういう意味では成功かしら。原題の「Motljus」は「逆光」とか「レンズ」とかそんなような意味で、そっちの方が内容を深く捉えてる。まあでも、引きは弱いから、この邦題で良かったのかも。

1970年代のまぶしさは、2000年代にはすっかり失われてしまう。自分が産まれた70年代は、もちろんその当時はいろいろ大変なこともあったのだろうけど、希望の時代だったんだな。

前知識なく読んだけど、スゥエーデンの著名な童話作家だそうです。



アリョーシャ可愛いよアリョーシャ

ミーチャ可愛いよミーチャ

コーリャ可愛いよコーリャ

イワンもちつけ

あ、終わっちゃった

世紀の傑作と呼ばれるよねえ。面白いもの。チェーホフと近い世界観なのに、あっちは全然言わない、こっちは全部言っちゃう、て真逆さが楽しかった。
青空文庫と全集と新潮文庫とごちゃごちゃに読んだので、訳がまちまちだったけど、そんなに気にならなかった。新訳は全然読んでない。
「カラマーゾフの兄弟」の感想でした。

050422_0436~001.jpg再読。
かわいた文体が心地良い。大好きな作品。
ヒロユキくんからかりぱくしてます。

050406_0605~001.jpg「お茶と説教」岩松了
面白い。岩松さんの本は昭和末期の香りがする。

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