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黒澤世莉です。写真は『ゾーヤ・ペーリツのアパート』宣材撮影の舞台裏。

時間堂『ゾーヤ・ペーリツのアパート』の演出ノートをはじめます。

これから演出をしたいとか、演劇をしたいとか、そういう方の参考になれば、と思って書きます。が、なにぶん演劇やり過ぎて、初心者の気持ちというものがもはや分からなくなっています。もし分かりにくいことや聞きたいことがあったら、SNSかなにかで聞いてください。参考にします。

2016年の黒澤世莉という、19年間50作品演出してきた演出家が、どんなことを考えて演出しているのか、何を良いと思って、何に困ったり悩んだりしているのか。そういうことを、誰かの迷惑にならない範囲で、素直に書いていければ、と思います。

ここに書いてあることは、何かの正解ではありません。正しい演劇の姿でもありません。演出の常識とか、演劇界の通常とか、そういうことは分かりません。あくまで黒澤世莉という演出家個人の考えですので、その点はご理解ください。

さて、一回目は、演出家の準備ってなにすんの?について書きます。

いろいろなときに「とにかく準備大事」と書いていて、それはポジションによって色々変わってくることだとは思うのですが、特に演出家の準備、稽古の始まるまでのことについて書きます。

私は「稽古初日に、その作品の出来は決まる」と思っています。一般的な演劇のリハーサル期間は一ヶ月くらいだと思うんですが、そんな時間で劇的に成長するってことは稀です。稽古初日までに何を持ってこられるか、が大事。本当に。

稽古が始まったら、そこにある可能性を、できるだけ減ぜずに運んでいくしかできないですからね。伸ばすのは稽古に入るまで。です。

演出家の準備は、ほぼ取材、リサーチが全てではないでしょうか。それを分解して整理していきます。これ全部を私自身がやれているわけでもないですが、理想論だったり、時間があればやりたいことであったり、です。

台本を読む
読書百遍、というコトバがあります。とにかく100回読めと。脅威の読解力でもないかぎり、数は力ですよ。とにかく最初は質より量です。時間をかけましょう。

そして、作品にの背景について調べる。国、時代、登場人物、文化など、について。ですね。そもそも台本がない、という場合は、みなさんどうしてるんでしょうね。私には分かりません。

作家について調べる
「作家の書いた他の台本を読む」
シェークスピア演るならシェークスピア、ブルガーコフやりならブルガーコフ読んでおくべきでしょう。願わくば全集。最低でも有名なものは。

「作家の書いた台本以外のものを読む」
チェーホフなんかはコラムも短編も書いてますからね。

作家の背景についてしらべる。国、時代、文化など、について。それが分かると面白い、てことはたくさんあると思います。

で、ここから先は、具体的にどう調べるのか、を書いていきます。

現地取材
ドイツの作品ならドイツに行ったほうがいいでしょうね。北朝鮮や宇宙ステーションが舞台とかだと、なかなか難しい物がありますが。現地に行かないとわからないことがたくさんあります。イラン取材は行って良かったです。ほんと。

インターネット
やー、これがない時代はほんと大変だったと思います。ウィキペディアとか神の機械ですよね。

図書館
でもやっぱり、図書館が一番いいですよ。ちなみに演劇関係の本は、早稲田の坪内逍遥記念演劇博物館か、新国立劇場のライブラリーがオススメです。

カーリル
まー演劇関係の資料はなかなか見つからないので、検索サービスは頼もしいですよね。

Amazon
他中古書籍サイト

剛毅な人は買っちゃいましょう。わたしは図書館で調べて、こりゃ手元にあったほうが良いなってものだけ買って節約します。

上演作品を観る
有名な作家の作品なら、先にどういう上演をされているか、当然観ておいたほうが良いと思います。それで影響されてブレるようなら、うーん、あんま、なんですかね。演出むいてないんじゃないですかね。
劇場の上演でも、映像でも、観ておいたら良いと思います。youtubeにも結構上がってますよね、海外の上演とか。

ここまでがリサーチ編です。いろいろインプットしたら次行きますか。

作戦立案編
わたし作戦立てるのキライなんですけど、正確には考えたとおりにするのはつまらないと思うってことなんですけど。
演出家には大きく二種類いると思っていて。

自分のイメージはっきりしてて具現化するタイプ / 大まかな方向性を打ち出して、細部は任せるタイプ

わたしは後者なので。こまごました作戦というより、だいたいの時間の流れとかですね。いつまでに何ができてないとまずいみたいな。プロジェクトマネジメントです。そういうことをします。

決まったことだってどんどん変更かけていくタイプです、わたし。でも、これって要は決まってることが少ないと、すげーぼんやりしちゃうから、決めて作っていこうぜ、てことでもあります。壊す前提でつくる。

コンセプトを考える
主題を考える、決める
ほぼ一緒なんですけどね。意味。おおまかな方向性を打ち出して任せるタイプは、目的地の設定がとっても重要になってきます。もちろん、つくりながら「こっちじゃなかった」てなる場合もありますけど、こっちじゃない、が分かるためには「どっちに行くかか」を決めないといけないってことです。

演出の仕事はなにか考える
そもそも演出ってなんだ、みたいなことを考えます。そもそも論好きなんで。ねんで演劇やってるんだろうとか、ほんと毎日考えてますね。それは変態だと思いますが、演出とか、自分の仕事をぼんやりやらず、意識的に取り組むのはいいことだと思います。今は大きく二つが演出の仕事だと思ってます。

「読解、空間、俳優」この三要素をあーだこーだする、演出なんだと思います。

「決断する」アイディアやネタ出しはどんどんやってもらっても、最終的に責任をとる、のが演出なんだと思います。

最後にまたちょっと違うやつ。

打合せ
稽古が始まる前に、俳優さんやスタッフさんや制作さんと、なるたけ話しておいたほうが良いです。もちろん用がないとなんだこりゃみたいな時間になります。ただ、公演前になればなるほど時間はなくなるので、早めに顔を合わせて、コンセプトの共有や、目標の共有、そして、自分はどんな演出家で、どんな作品が作りたいのかのプレゼンテーション、はやっといたほうが良いと思いますけどねえ。

演出オン稽古が始まるまでの準備、はこんなところですかね。あなたの準備も聞かせてください。

では、次回[01]は「プレ稽古ってなんすか、いらなくないすか?」です。

お楽しみに。

____________________おしらせ____________________

【キャンペーン】黒澤世莉を2万円で売ります【先着5名様】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52361098.html


【演出します】2016年の時間堂は7月の本公演とレパートリーシアターの【12ヶ月連続上演】

時間堂レパートリーシアター
6月17日(金)18日(土)『玄朴と長英』『珍珠奶茶』
at 十色庵

http://handsomebu.blog.jp/archives/52372002.html



【次回本公演】「ゾーヤ・ペーリツのアパート」
2016年7月29日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
http://handsomebu.blog.jp/archives/52370530.html
【ご利用受付中】静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」
http://toiroan.tumblr.com/


【ワークショップ情報】6月
http://handsomebu.blog.jp/archives/52369376.html

【演出家/俳優:参加者募集】ファシリテーターしますよ:ディレクターズワークショップ [大阪][8/15~18]
http://handsomebu.blog.jp/archives/52374184.html