とはいえ子供のころにアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」を見ながら、夢子ちゃんはなんで人間なのに妖怪たちと仲良く出来るのか設定上の気持ち悪さを感じていた、黒澤世莉です。敵妖怪でよく覚えているのはしゅのぼんとぬらりひょん。

漫画家の水木しげるさんが2015年11月30日、お亡くなりになったそうです。謹んでご冥福をお祈りいたします。

表題の通り私は水木しげるに思い入れがない。ふつうに「あ、亡くなったんだなー」くらいに思ってた。マイケル・ジャクソンのときと同じ感じ。思いのほか騒ぐ周りの方が多くて「そんなにファンなんだ、てかファン多いんだ、知らなかったなあ」ってちょっと引き気味に見てた。お年寄りの有名な漫画家が亡くなった。それだけ。

認識が変わったのは、牛尾茉由さんのFacebook記事に引用されていた文章を読んで。孫引用します。

赤紙が来た(確実に近い内に死ぬと自覚した)20歳の手記より

吾が描ける理想の生活。
中等学校の画の先生になつて、境(※境港市)の山をみつめることだ。
勿論独身を好む。レコードを好む。哲学を好む。
生活即ち芸術とすることだ。田舎にひつこんで待望も捨てるなんていふのは退嬰的と言ふ者があるかしらんが、俺は決してそうは思はない。
(中略)
都会の混雑の裡に芸術を探求しようなぞとは全く馬鹿化た話だ。無名ならば無名でよろしい。
金が無ければ無いでよい。自分を捨てる事が必要だ。
(後略)

唐竹割りにされた気分になった。お恥ずかしい話、自分と芸術の関係について考え悩んでいた時期だからか、やけに響いてしまったのだ。私がここまで割り切れるのか。いや、割りきってしまえばいいのではないか。そこは覚悟や「あとは決めてやるだけ」的なことだけが必要なんじゃないか。そんなふうにね。

世界文庫@sekaibunko

水木しげる先生の「 幸福の7か条 」です。

水木先生、有り難うございました。 https://t.co/D1F2a29H49

2015/11/30 13:45:46

そしてこちらのTweetも印象に残りました。私には3条と5条が重かったです。

周りを気にせず、自分のやりたいことを続けられる。

そのためには、自分のやりたいことをきちんと分かってあげる、自分をいつも理解してあげてないといけないよね。

自分の身の振り方に結論が出たわけではないし、まだまだ迷い続けていくわけだが「水木しげる？興味ないね」から「水木さん鋭いこと言うよね」くらいに認識が改まりました。

もうひとつちっちゃく考えたこととしては、死んだら、いや生きていてもだけど、周りの人間は勝手にイメージをつくっていくんだな、ていうこと。SNS上ではそうとうな人格者みたいな形容が多かったけど、人格はそうとうロックだったようなエピソードをちょいちょい見つけて、「結局人間は他人に対して、自分が見たいイメージを投影するだけなんだなあ、事実を曲げても」と思ったのでした。

かさねて、水木しげるさんのご冥福をお祈りいたします。ていうか、腕も生えてあの世で運動会ですかね、いやマンガ書いてそうだな。気に入らないプレゼントをぶん投げながら。

写真は伊勢神宮内宮の五十鈴川。


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