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照明仕込みがはじまりました黒澤世莉です。わたしが仕込むわけじゃないですけど。

「赤鬼」31回目の稽古は、抜き稽古になりました。30回目の主ホールでの通し稽古を受けて、大枠が決まったこともあり、決定しました。出演者たちが公演に向けてコンディションを整えるべく、16人中10人を休みにして、6人での稽古になりました。6人には負担が大きいですが、そこは出番が多い俳優の責任ということで、耐えていただきます。「若いんだから大丈夫でしょ」みたいな乱暴な発想は、不効率なだけでなく事故も招きかねないので、おやすみは大事だと思います。このへんを見極めて、負荷と休養のバランスを決めるのも演出家や場を仕切る人の大事な仕事です。いつでも結果論になっちゃうからね、分かりにくいんだけど。

がむしゃらにがんばることも大事だけど、効率よくがんばったほうが成長は早いと思います。

あとちょっと話しがずれるけど「高校生らしさ」みたいなのもの望んでないです。そういうの期待して来るお客さまはいらっしゃるでしょうし、歓迎しますが、演出家としてはそういうことを舞台にあげようとはしていないです。そもそも「高校生らしさ」という言葉がよく理解できないですから。

私がやろうとしていることは、目の前にいる16人の生命力を舞台に上げよう、ってことです。結果的に「高校生らしさ」て言葉でくくられることもあるとは思ってますが、「高校生らしさ」という言葉は、ややもすると「大人が望む高校生らしさ」て意味に使われそうでイヤです。

「大人が望む高校生らしさ」とかまじでクソkura-eですよ。自主規制

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というわけで、通し稽古の振り返りから、身体のメンテナンスを経て、基礎稽古をしましたよ。

身体のメンテナンスは2つの意味で大事です。ひとつは、日々の回復をして、稽古と公演を元気に迎えること。ぐったりした状態で稽古しても集中力足りなくなって危ないからね。もうひとつは、稽古の入り方で、いわゆる準備やウォーミングアップといわれること。プロの野球選手やサッカー選手やバレリーナが、なんのウォーミングアップもせず試合や練習に望まないように、演劇をするにも、より身体が使いやすくなる時間をとってあげたほうがいいです。

ワークショップや初期の稽古のころにはやってたことだけどね、疲労が溜まってきた時ほど、時間がなくなったときほど、身体の準備はしたほうがいい。ちゃんと時間とったほうがいいけど、どうしてもダメなら短くてもいいから。

基礎が一番大事

っていうのが、今回の演出チームのひとつのテーマでした。単純な「関わる」「走る」という美しさを追求したいので、そのための基礎練習が、一番作品のためになるだろう、て仮説です。なんでこの日はしっかり基礎練習をやりました。その甲斐はあったんじゃないかと思いますが、結果は初日を開けてみるまで分かりません。

印象に残っていることは、出演者の「やっぱり大人の俳優さんはすごくて、感情とか作ってるんだなって」という言葉です。

演出チームが基礎練習に入るとき、感情は作ってません。自然に生まれた感情をつかっています。そういう基礎練習をしています。本当に怒ったり泣いたりしています。それがプロの仕事です。もちろん作為的になんらかの感情を準備する技術もありますが、そういう練習ではない場合は、その場で生まれた感情を活かしています。なにか意図的につくっているのだという勘違いがあったことが分かって良かったです。

なぜそういう勘違いが起きるのか、そこが理解してもらえたらもっといいですね。そして、その思い違いを乗り越えて、自分の身体や感情と向かい合えたらいいなと思います。そこは本人次第です。

彼らが自然に生まれた感情を舞台で活かしていけたら、とってもいいと思います。

そのためには、自分のいいところもわるいところも、ごまかさないできちんと認めてあげること。それができると、他人に対しても、自然と興味や好奇心や感心が湧いてきますから。

「この世界には、自分の外に他者がいる」

当たり前に聞こえるでしょうか。このことを自覚できている人間って、高校生だけでなく、大人も含めて、意外と少ないと思います。さきほどの「大人が望む高校生らしさ」みたいなこともそうですし、昨今のいろんな社会問題にも「自分の意見は正しくて対立意見は間違ってる」という振る舞いの方は多く見受けられます。自分の世界で閉じていて、自分に都合のいい他者像しか認識できない。もうね、アホかと。

なので高校生のみんなが「この世界には、自分の外に他者がいる」のだってことを、腑に落としてもらうだけでもとっても価値があることだと思うんですね。

別にプロの俳優になるかどうかは関係ないんです。生きていく上で役に立つ知恵ですから。
でも、プロの俳優でいい仕事する人は、例外なく「この世界には、自分の外に他者がいる」ことを知っていて、他者に対して、つまり人間に深い好奇心があるよな、て思います。

ま、わたしも高校生の頃は自分にしか興味なかったから偉そうなことは言えないんですけどねっ。25歳過ぎたくらいかな、こういうこと気づいたのは。情けない話ですが、そんなもんです。なんで、ゆっくり気がついていってくれたらいいと思ってるよっ。そして気がついてからのほうが生きやすいよっ。

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静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」一般貸出スタート
http://toiroan.tumblr.com/


黒澤世莉 (時間堂・演出家) のプロフィールはこちら:2016年のお仕事募集中
http://jikando.com/member/seri.html ご連絡は info@jikando.com まで


【演出します】高校生と創る演劇「赤鬼」
2015/11/7~8 at 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
http://www.toyohashi-at.jp/event/performance.php?id=189



ワークショップ情報
http://jikando.com/workshop.html
[演技:ベーシッククラス]
11月17日(火) 19:00〜22:00
19日(木) 19:00〜22:00
23日(月・祝) 13:00〜16:00
25日(水) 19:00〜22:00
27日(金) 19:00〜22:00
30日(月) 19:00〜22:00


[演技:アドバンストクラス]
11月28日(土)19:00〜22:00

王子小劇場ディレクターズワークショップ参加者募集
http://en-geki.blogspot.jp/2015/09/4.html



【演出します】時間堂レパートリーシアター・ワークインプログレス

2015年末 at toiroan 十色庵