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竹刀を持った高校生にタコ殴りにされたり、待ち伏せしていた高校生に後ろから刺されたりせずに過ごしている黒澤世莉です。まだ家に帰り着いてないので、油断はできません。

東京都高等学校文化祭演劇部門城東地区の推薦校は、都立科学技術高校、都立紅葉川高校でした。実力で勝ち取った結果です、胸を張って東京芸術劇場の中央大会に進んでください。

2015年11月7日(土) 〜8日(日)第38回東京都高等学校文化祭演劇部門中央大会・第69回東京都高等学校演劇コンクール中央発表会
http://www.geigeki.jp/performance/20151107te/

わたくし、豊橋の高校生と創る演劇「赤鬼」の公演
http://www.toyohashi-at.jp/event/performance.php?id=189

で、まったく行かれませんね。とほほ。両校とも、さらにスケールアップし、あふれる愛情いっぱいの作品にして、縄で縛り付けて殴るような上演をしてください。

とはいえ、推薦校も奨励賞も、審査員のオノマリコさん、高木登さんと、三人で議論に議論を重ねた結果でした。どう転んでもおかしくない、それこそ一本お芝居書けそうなやりとりの末。つまり、大きな差のない学校がいくつもあったということです。これをお伝えする機会がなかったので、ブログに書いておきます。

もし都立科学技術高校、都立紅葉川高校から、演劇部のみなさんが学べる部分があるとしたら、それは自分に対する客観性他人に対する好奇心です。人間は誰でも他人からよく見られたいし、好かれたいし、感心されたい、尊敬されたいという承認欲求があります。でも、それをストレートに表に出しても、望む結果になりません。「私を好きになって!」て言われても困るでしょ。演劇でも一緒です。好かれたい気持ちやよく思われたい気持ちを一旦脇において、自分のことを客観的に観察してみます。そうすると、ダメなところや嫌なところが見えてきます。見えてこなかったら、見えるまでお風呂にでも入りながら観察してください。で、そのダメなところが嫌なところが、じつはこっけいで面白いことなんだ、ていうことが分かってくると、それを活かしてみたくなると思います。隠しておきたかったら、演劇表現者は向いてないかもしれません。

そして、他人も自分と同じように観察してみます。他人に興味が持てなかったら、まだまだ修行がたりないので滝にでも打たれてください。他人のいい部分と悪い部分をみつめて、それをまるごと面白がれるようになると、表現に幅が出ますし、説得力が増します。都立科学技術高校と都立紅葉川高校は、それが出来ていた、ということです。

これは難しいんですよね。自分が高校生のころは、自意識のかいぶつみたいなもんでしたので、自分にしか興味なかったですし、人からよく思われるためにはなんでもしてましたからね、私。偉そうにナニを書いとるんだと思いますし、そうはいっても、これが出来てからでないと戦えるようにならなかったことも事実です。それはそうと、高校生のころは「オレの才能がわからない審査員の家の畳なんか全部ケバケバになってしまえばいい」と健康的に恨んでいたので、まあ自分も恨まれるだろうなーと思って審査しましたよ。

とはいえ、城東地区は19作品中18本が新作書き下ろしで、それはほんとうに素晴らしいことだと思いますし、何度もはっとする瞬間や夢中になる時間がありました。今回残念な思いをしたみなさんは、高校でも大学でも、捲土重来をしてください。意味がわからなかったらグーグル先生に聞いてください。

勉強ができるとか、スポーツができるとか、まったくそういうことがダメでも活躍できるのが、演劇の素晴らしいところです。逆に、どんなにみんなでがんばって努力しても、一個の才能に圧倒されてしまうのが演劇の厳しさです。どちらにせよ、演劇にかけた時間はみなさんを裏切りません。趣味でも仕事でも、実演家でも観客でも、末永く演劇に触れていっていただければ、審査員のひとりとして嬉しく思います。

でま、こういった大人のたわごとに対して、つねに疑問を持って検証して欲しいと思います。ひとのはなしを鵜呑みにしない。自分の頭で考えて、自分で決断して、ね。

やーでも、楽しかったなー。ある作品は本気で動かされたし、またある作品はぜひ演出したくなった。城東地区の生徒のみなさん、先生方、ありがとうございました。

先生方との交流会では、SMの話ばかりしていたというのは内緒です。他の話もしましたがもっと際どい話だったなんて、口が裂けても言えません。決して他の方々、とくに生徒たちにバレないようにしなければたいへん有意義な情報交換が出来ました。

さあ、26(土)はレパートリーシアターだし、28(月)からは「赤鬼」稽古スタートだし、高校生に負けないように、楽しくやりましょーかね。

____________________おしらせ____________________

【演出します】時間堂レパートリーシアター・ワークインプログレス
2015年9月26日(土) at toiroan 十色庵
http://jikando.com/nextstage/502-2015toiroan09.html

黒澤世莉 (時間堂・演出家) のプロフィールはこちら:2016年のお仕事募集中
http://jikando.com/member/seri.html ご連絡は info@jikando.com まで

【演出します】高校生と創る演劇「赤鬼」
2015/11/7~8 at 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
http://www.toyohashi-at.jp/event/performance.php?id=189


静謐な演劇空間「toiroan 十色庵」一般貸出スタート
http://toiroan.tumblr.com/

ワークショップ情報
http://jikando.com/workshop.html

[演技:ベーシッククラス]

11月17日(火) 19:00〜22:00

19日(木) 19:00〜22:00

23日(月・祝) 13:00〜16:00

25日(水) 19:00〜22:00

27日(金) 19:00〜22:00

30日(月) 19:00〜22:00


[演技:アドバンストクラス]
11月28日(土)19:00〜22:00

[だれでも:演劇体験クラス]
11月29日(日)10:00〜12:00

[時間堂 ワークショップ@静岡]

だれでも:演劇体験クラス

10月19日(月) 16:00〜18:00



俳優:演技ベーシッククラス

10月19日(月) 19:00〜22:00
王子小劇場ディレクターズワークショップ参加者募集
http://en-geki.blogspot.jp/2015/09/4.html