という高木登さんのコメントを聞いて「抱いて」となった黒澤世莉です。嘘です。いや高木さんがこういうコメントをしたのは嘘じゃないです。

東京都高等学校文化祭演劇部門城東地区の、審査2日目の講評会ですね。審査員は高木登さんとオノマリコさんと、わたくし。

その日の7本中2本が性的マイノリティを描いた作品でした。性的マイノリティっていうのは、ゲイやバイセクシャルなど、性別などが少数派の方々の総称です。2015年の調査では、13人に1人が性的マイノリティでした。学校一クラスに2,3人はいる計算になります。

参考リンク
http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/22/japan-lgbt-increased_n_7114592.html

同性愛者、性同一性障害などの性的マイノリティー（LGBT）は、全体の7.6％にのぼる。

こんな最新の調査結果を、「電通ダイバーシティ・ラボ」が全国約7万人へのアンケートをもとにまとめた。

私が、そういうことを題材にするのはチャレンジとしては素敵だしどんどんやるべきだ、ただし安易に演劇にするとそれは人を傷つけてしまう場合もあるので、よく調べて考えてから取り組んでください、てなことをお伝えした後のことでした。

他者を傷つける可能性ある作品を書くときは、自分も傷つく覚悟をします

ものを書くというのは、つねに誰かを傷つけてしまうリスクを背負っているものです。それが性的な少数派のことでも、外国人のことでも、障害のある方でも、思想的少数派その他あらゆる人間には人格があり、自分が所属するグループがおかしな描かれ方をしたら傷ついて当たり前ですし。日本人であれば、外国人から「原爆と原発事故で放射能汚染にまみれてて、放射能汚染がうつるから近寄るな」なんてことを言われたらだれだって嫌でしょう。でも、このレベルのことが現実として方々で起こってるんだと思います。あ、大会の演目とは関係ないですよ、あくまでたとえ話がしたいだけで。

で、他者を傷つけてしまうリスクを、低くは出来てもゼロには出来ないわけです。だってそんなこといったらなんにも書けなくなっちゃうから。し、本意と違う誤読をされる場合もあるわけです。じゃあ、どうするのか。それは、書くからには責任を引き受けて、非難は甘んじて受けるし、それに加えて自分の痛みきちんと織り込んで書く、てことだと思います。高木さん違ったらあとで言ってください。

作家という生き物の凄みを感じました。

あと今日の講評の個人的ハイライトは、オノマリコさんがSMについてとうとうと語り始めたときです。そんな素晴らしい作家の高木さんとオノマさんがどんなひとなのか、ご存知ないかたは、ぜひグーグル先生に聞くといいですよ。

印象に残ったのは、都立科学技術高校（SMをとうとうと語られた）と、都立深川高校と、都立大江戸高校でした。

しかしやっぱり、オリジナルが多いってのはいいですね。今日は全7校がオリジナルでした。がんばって書いてね、どこも見どころありましたから。

ちなみに、写真は帰りがけのスカイツリー。このへんも東京大空襲のときは焼け野原になったんですよね。

スーパーサイエンスハイスクール、て、ちょっと中二っぽい。

明日は三日目最終日、どんなものが飛び出してくるか楽しみです。


【演出します】時間堂レパートリーシアター・ワークインプログレス
2015年9月26日（土） at toiroan 十色庵
http://jikando.com/nextstage/502-2015toiroan09.html

黒澤世莉 (時間堂・演出家) のプロフィールはこちら：2016年のお仕事募集中
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