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黒澤世莉です。演出家仲間の田中圭介さんに勧められたので観たら良かったので、感謝の気持を伝えました。

せり「超いいよ」
たなりん「よかった、ぼくまだ観てないです

ズコー。でもまあ、いい御縁をいただけたのでよし。

雪の轍
http://bitters.co.jp/wadachi/

ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品。トルコ映画ですね。あんまり観たこと無い。そういやアスガー・ファルハディ監督「別離」に通じる雰囲気がある。あれはイランだけども。

シェークスピアの引用が印象深いけど、お話的にはチェーホフとドストエフスキーを混ぜた感じ。んー、この2つを混ぜたって言われてもラーメンとカレー混ぜたみたいでピンと来ないと思うんだけど、人間関係や広がり方はチェーホフっぽくて、言葉の使い方や葛藤の表現の仕方はドストエフスキーっぽいんだな。そんで、この2つが好物の私にとってはまことに素敵な映画でした。

ギャーンギュギューンドガドガバギバギ、みたいな映画もいいんだけど、長く残るのはこういう映画よね。これは演劇でも言えて、凝った舞台美術、動く照明、クールな爆音、そういうのはあんまり残らない。これは嗜好の問題で、いい悪いって話じゃなくてね。そういうもののクオリティーを上げられても、わたしは別に魂は引っ張られないんだよね。

「雪の轍」は、絵作りも美しくて、そういう意味でも美しいんだけど、わたしが心惹かれるのはそういう部分ではない。役柄の納得できる行動と、それの引き起こす事件の説得力、それを支える俳優の活き活きとした演技、そして練りに練られた台詞の数々、結果積み重なっていく物語。そういうものを面白いと思うし、また観たいと思う。

だから、自分で作るものも、自然とそういうものになっていくよね。奥行きのある台詞と、充実した俳優たちがいれば、それで演劇はいいのだ。映画さえそうだよ。

DVD2016年1月29日発売予定ですって。


同じヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の「昔々、アナトリアで」も観たいなあ。


こっから先おしらせの下はネタバレするので、読みたくない人は読まないでね。

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新宿武蔵野館の帰りは、よってこやの醤油ラーメン。新宿で600円でこの味はお得だと思うの。
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13000897/

____________________おしらせ____________________

ワークショップ情報
■東京
http://jikando.com/workshop.html

[特別クラス:身体と感情とテキストの融合と拡張] 発表会と振り返り
7月 5日12日(日)時間未定

[演技:オープンクラス]
7月 6日(月) 19:00〜22:00
7月 13日(月) 19:00〜22:00
7月 15日(水) 19:00〜22:00
7月 20日(月) 19:00〜22:00
7月 25日(土) 13:00〜16:00
7月 27日(月) 19:00〜22:00

[演技:中級クラス]
7月 31日(金) 19:00〜22:00

黒澤世莉 (時間堂・演出家) のプロフィールはこちら
http://jikando.com/member/seri.html

【演出します】高校生と創る演劇「赤鬼」
2015/11/7~8 at 穂の国とよはし芸術劇場PLAT

時間堂がつくった、演劇をみるつくる体験する場所「toiroan 十色庵」リノベーションの記録。気軽に遊びに来て下さい
https://note.mu/jikando

ネタバレ
そういうわけで個人的には大満足だったのだけど、最後のモノローグだけはいただけないなあ。ちょっとずっこけた。まあ、アレがあるから終わるってのも分かるんだけど、いままで散々、沈黙と表情と、動物を使ったメタファーだけでやってきたのに、最後語っちゃうんだ、声にエフェクトかけてっ。てズッコけた。まあ、瑕瑾だけどもさ。

刑務所帰りがお金を燃やすところはしびれるね。あのあと目を腫らしてるのとかもいい。あの役者さんいいなー。まあ、出てる人みんな超絶上手いんだけど。嫁があの金の使い道に困る、ていうか自分の事業で使いたくないっていう気持ちはひじょーに分かるが、だからといって、上から目線の施し(しかも復讐心まで混ざってる)に、貧者にも当然ある自尊心が反発する、てのはとてもいいシーン。双方悪意はないんだけどね。。。傷つくよね。。。しかも燃やしちゃったあと「なんでオレあんな大金燃やしちゃったんだろう?」てなるよね、間違いなく。あー悲しい。

舞台俳優くずれの金持ちとその家族が、恵まれた環境でウダウダ言ってる、ていう、しょーもない設定ちゃしょーもない設定。そういう意味では環境の設定の仕方はチェーホフ的だよね。

家族の間で語られる言葉たちの濃密さ加減はドストエフスキー的。何の話してるかついていけてないもん正直。でも、論理的に飲み込みきらなくても、俳優たちがしっかり腑に落として発話してるから、素直に聞けるし、退屈もしないんだよねえ。大きい事件が起きるわけではないけど、そこに在る葛藤を読み取れれば面白く観られる。逆に言えば、そこで話していることに興味が持てない人には退屈な映画なんだろうけど、そういう人は「マッドマックス」とか「チャッピー」とか、考えなくても楽しく観られる映画を観てたらいいと思う。

芯から悪い人は一人も出てこないけど、なんでか上手くいかないのよねえ。というのは、世界を本当にうまく切り出している作家だけが出来るやつだよね。

日本人がちょいちょい出てくるのが面白い。

気に入った台詞はいくつもあるけど「良心の名のもとに他人を攻撃する奴は卑怯者だ」ていうのは好きだなあ。ほんとうに、良心とか常識とかを持ち出すことで、誰かを責めて自尊心を保つ、ていうのはみっともないことだよねえ。でもやりがちだよねえ。

3時間超えでも全然くもなく観られちゃう*個人の感想ですので、ふわっと行っちゃいなよ。