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黒澤世莉です。ようやっと読み終わったよ。面白かったです。

憲法制定のところは特に面白かった。GHQの若くキラキラした青年たちが、ほんとうに必死こいて作ったんだろうな、ていう様が目に見えるようで。日本政府のウダウダやってりゃなんとかなんだろ的態度がバッサリ切り捨てられるさまには痛快ささえ覚えた。

日本人が天皇制についてクールだ、ていうところも面白い。マッカーサーとGHQがそのまま大本営と翼賛体勢にスライドしてきたのも興味深い。

結局、敗戦後の日本政府もGHQも、天皇陛下の戦争責任追求と、官僚機構の改革をしなかったために、奇跡的と言われる復興は成し遂げたものの、日本の抱える本質的な問題点はまったく解消されなかった。そう理解しました。

この本に書かれている、戦時中から占領時の「集団としての日本人」の態度と、私が知っている現代のそれは、まったく同じものに思えます。そしてそれは、けっこう落ち込ませてくれます。そういう現実を受け入れて、変化を求めていくしか無いわけですが、こりゃ戦う相手は根深いもんだ、て思いましたね。ひー。

わたしの少ない読書歴では、日本人の作家のドキュメンタリーは、情緒的になりすぎていると思うことが多いです。アメリカ人やドイツ人のほうが、科学的で冷静に書いていることが多い気がする。そして、むしろ科学的なものの方に、より作家の愛情を感じる気がします。情緒的なものは気分で書けるけど、科学的なものはたくさんの資料にあたって分析し続ける粘り強さが必要だし、それって結局対象への愛情がないと続かないのかなー、なんて思いました。

もちろん西洋人で情緒過多になってるものもあるけどね。あくまでわたしが出会ってきた本の、少ない母数の中で思ったいいかげんな傾向ということで。

慰安婦問題とか、領土問題とか、いろいろありますが、まず太平洋戦争とその直後の日本のことを知るのは、大事なことかと思います。あれどういう戦争で、その後、日本という国に何が起こり、復興したのか、ていうのは、意外と知られていないし、知らないとまずいこと、なんなら義務教育でマストな部分だと思います。なかなか学校で学べないので、おとなになってからでも勉強しましょう。大人の勉強、楽しいですよ。点数もつけられないし。居酒屋で話すネタも増えるし。

おすすめです。



____________________おしらせ____________________

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東京ハートブレイカーズ「スーパーエンタープライズ」
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2015年4月29日(水・祝)〜5月3日(日)
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