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先日のブログで「インターステラ―」が面白かったって話を書いたので、今回は「ゴーン・ガール」について書く黒澤世莉です。

ゴーン・ガール
http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

デビット・フィンチャー監督作品。「セブン」「ソーシャルネットワーク」が有名だけど、わたしゃ「ファイトクラブ」がなんといっても大好き。あのエドワード・ノートンは最高。

なんだか「愛」とか「失踪」とかが重要っぽいですが、こりゃコメディです。ええ、誰がなんと言おうとコメディです。前半はサスペンスって言ってもいいですが、これは後半のオチに向かって進む質の悪い、そして上質なブラックコメディです。あたしゃチェーホフを思い出しながら見てました。

「ねえよ、ありえねえ」と思いながら「でもあるかも、あるあるかも」と思わされる状況の数々。ことに男女の気持ちが離れていく様の丁寧さはたまらん。センセーショナルなシーンが記憶に残りがちだけど、出足の丁寧な組み立て方こそ真骨頂だと思う。

たとえば、ニックの双子の妹マーゴが最初に着ているTシャツに書いてある「protect your nuts」てのが、もういい。直訳すると「木の実を守れ」だけど「お前のキチガイどもを守れ」て読める。
【20150111追記】英国在住のともだちから「キンタマ守れ」だよってご指摘頂きました。ありがとうございました。
書いてあるとおり、彼女はキチガイどもを守るために悪戦苦闘するわけだ。マーゴがんばるんだけどなあ、かわいそうだわ。

弁護士も、いかにもいそうで良かった。超優秀だしナイスガイだけど、金はしっかり取るし、ひっじょーにドライ。刑事は賢く情に厚くカフェイン中毒で仕事一筋、だけど法の力には限界があって出来ないことがある。このへんの描き方も秀逸。

主演二人の良さは、もうホウボウで書かれているので割愛。

マーゴと、エイミーの両親(なんならそもそも種を撒いたのは彼ら)は、原作では片がつくんだろうけど、2時間強の時間では決着がつけられなかったっぽい。このへんの描かれ方不足なんか、原作読みたくなる感じで良かったです。

わたしは見ながら、チェーホフを思い出しました。ゲラゲラ笑ってゾッとする。そいう映画です。もうタイトルも「アメージングエイミー」にしちゃえよ、て思いました。完璧なエイミー怖い。

というわけで正月の退屈さを吹き飛ばしてくれる映画紹介でした。

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