イラン人は働きながらめしを食う。てか、座る。遊ぶ。例えばレストランに行ったとき、仕事があればそれをやる。仕事がなければ遊んでる。で、お客さまがまた来たら働く。
あと日本であまりみない光景としては、まちなかをパンを持って歩いている。食パンくわえてかどで激突、みたいなシチュエーションじゃなくて、ナンを何枚も重ね持って歩いている。なぜかは知らない。

1月3日木曜日、旅の4日目。やっと調子が出てきた気がする。今日はアルバイーンという祝日なので、博物館は軒並み休み、らしい。ムサビが言ってた。なので、お休みでも問題無さそうな公園に行く事にした。
いつもはイマームホメイニー広場の方から行くんだけど、気分を変えてバハーレスタンの駅の方から行く。こっちは魚屋街があって、それが終わると国会があるという、築地即国会議事堂的な風景になっている。

その目抜き通りを、文字通り人並みで動けないくらいの量の人間たちが更新してきた。街宣車みたいな車が、おそらくありがたいアルバイーンにまつわる法話をしているのだろう、その周りを100メートルはくだらない距離で囲んで、私が進みたい方向とは逆方向に流れている。鶴ヶ岡八幡宮の初詣以来の、人に囲まれて動けない経験をした。人々は、あるものは泣き、あるものは頭や胸を叩き、あるものは携帯で写メっている。あ、写メっていいならとろっと、遠慮してたんだよね神聖な感じだったから。イスラム教はこういうところ、なんていうか、アバウトっていうか自由だなって思う。絶対のこと以外はおおらかなんだな。

目的地はラヴィザーン公園。ろくすっぽ調べもせず、とりあえず近くの駅まで行ったらバスでもあるだろう、とたかをくくる。で、行ってみたら、バス無いんでやんの。タクシー捕まえようとしたら、おじさんが乗ってけというので、白タクかなと思って乗せてもらう。お金払おうとしたらいいよいいよって言って、いやたぶん言ったんだよペルシャ語わかんないけど、で無事到着。

新宿御苑的イメージで行ったラヴィザーン公園は舗装路が通ってる山みたいなところだった。テヘランより標高が高いぶん寒いし、空気も綺麗。テヘラニアンが遊びに来てるのを尻目に歩く。水も買ってきてないことを悔やんだら、売店とかトイレは完備、レストランもある。と、そんなに歩かないうちに登り切って、下りになってしまった。結構広いけど、本気で歩くと物足りないくらい。こんな事思ってたからのそしっぺ返しが次の日に来るんだが、そんなこと知る由もない。

レストランでお昼を食べたら、日の丸の旗を持ってきてくれた。イラン人は基本的に日本人好きね。あと、よく中国人かって聞かれることが多くて、10年前に海外に行ったときはそんなこと言われなかったから、経済力ってこういうところに出るんだなあとか思った。あ、ここにも英語のメニューはありません。てかラヴィザーン公園自体、英語の何かは道路標識以外皆無。

で、そんな山なんで、どうやって帰ろうか逡巡してたんだけど、また親切なイランのおじさんが乗ってくって言ってくれて、乗ってくって乗った。中国人かって聞かれて日本人だよと答えると「マジで、オレ日本に10年住んでたんだよ、10年前。足利市に住んでた。いまそこのホテルのオーナーなんだ」とか日本語で喋り出した。足利市での人探しを頼まれて、袖すり合うも他生の縁といいますし、お引き受けしました。メトロの駅まで送ってもらう。また来たらホテルに停めてねと言ってバイバイ。

なんだかんだいい時間なので、いい店探しにカリムカーン通りからヴァリーイェアスル通りを目指す。と、あっというまにカフェやらチャイハネが固まっているところを発見。チャイハネ、いい感じそうだけど、やたら敷居が高そうだけど、なんていうか、「これがイランの男の世界だ」みたいなにおいがプンプンしてたので、おずおず入ると、素気無く門前払いに会う。「水タバコ吸わないなら帰れ」みたいな。なので水タバコをお願いする。ここでも親切なお兄さんに英語通訳してもらって、なんとかかんとかなった感じ。地元の人用のチャイハネは、外国人が物見遊山で入るには敷居の高い世界でした。

そのまま隣のコーヒーショップにはしご。ここはヴィエナカフェといって、ちゃんとスイスなカフェな感じだった。スイス行ったこと無いから想像だけど。私の席の後ろの親子が、ずっと英語で会話してて、可愛かった。

なんだかんだしてたらホテル22時。ムサビと明日の話を色々する。ほんとにいい人よこのひと。
いろいろやって、おやすみなさい。明日はテヘランを立つ日。