ヒザイ推薦で「コペンハーゲン」を借りたよ。たまたま図書館で「デモクラシー」も借りてたので、同時に読んだ。面白かったなあ。新国立劇場でやった公演も評判だった「コペンハーゲン」の方が、より好みにあった。

「コペンハーゲン」
男2女1の三人芝居。
物理学者ボーアとハイデルベルクを巡る、ナチスドイツの兵器開発にまつわる物語。
不確定性原理を暗喩に「自分が何をしているのか、誰にも分からない」ことを静かに訴えかける。

マイケル・フレインの軽妙で皮肉っぽい語り口に、小田島訳がよく合っている。
軽くサクサク読める部分でリズムができるので、論理的で難解な部分も飲み込みやすい。
鮮やかな伏線の貼り方といい、間口の広さと奥行きの深さといい、大変良く出来た戯曲。

構造としてはアーサー・ミラーの「転落の後で」を思い起こさせる。
現実の存在ではないものが過去を回想する、時間軸がゆれるところがそう思わせるのかしら。
「転落~」と比べ、短い台詞が中心となっている所が時代が進んだんだなと感じさせる。

科学者同士の理屈っぽいところの微笑ましさはデイビッド・オーバンの「Proof」を思い起こさせる。
やー、いつかやってみたいなあ。

「デモクラシー」
マイケル・フレインの名作戯曲。男だらけの政治とスパイの話。
20世紀半ば、ナチスドイツの時代から立ち直りつつある西ドイツで、40年ぶりに社会党の首相となったヴィリー・ブラントと、その秘書で東ドイツスパイのギョームの物語。

「コペンハーゲン」と同じく史実を元にした戯曲。
政治を、それも稀代の偉業を成し遂げて、後のベルリンの壁崩壊に繋がる楔を打った政治家の首相時代をモチーフにしているので、ドラマチックであることは間違いない。
人民に対して博愛だが、親しい人を愛せないブラントという人物造形が秀逸。

2011年8月の日本では、菅首相に辞めろ辞めろと言い募るマスメディアやソーシャルメディアの声を連日飽きるほど聞いている。
去年も鳩山さんに、その前も麻生さんやら福田さんやら、まあ小泉さん以降誰に対してもそうだった。
次の首相も、敵対政党やマスやソーシャル、挙句の果ては味方の政党から批判されて1年でやめるだろう。

政治家はいつの時代も、偉大なことをやっては叩かれ、愚かなことをしては叩かれ、大変だなと思った。

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マイケル・フレインは、チェーホフの訳をやってる。そのまた訳した上演を見たことがあるんだけど、それはあんまり感心しなかった。まあ孫訳なんだからね、とその時は思っていたのだけど、印象は良くなかった。もう完全に印象が変わって、大好きになったよ。

どっちも面白いです。




あと、どっちも後書きが長すぎる。いや面白いからいいんだけど。