「ハンサム部」こと旅する演出家:黒澤世莉blog

Director Seri Kuroawa's blog / 旅する演出家 黒澤世莉のblog

July 2016

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黒澤世莉です。このペースで行くとまったく終りが見えないので、ちょっとまとめて、一エントリで複数回の稽古をまとめていきます。

19回目の稽古は、5回目の通し稽古。20回目の稽古は、通し稽古を踏まえて、その演出からはじまりました。ちなみに、20回目の稽古から30回目の最後の稽古までの11回は、集中稽古になります。劇場に入るまで、間に一回のお休みを挟んで、10:00〜21:00まで稽古するという鬼スケジュールです。

みんなの体力が持つか心配です。

さて、前回のエントリでも書いたように、演出家には「待つ」という大事な仕事があります。そういうなかで、以前のエントリに書いた「一定の間隔で通し稽古を行う」タイミングがきましたね。通し稽古は舞台監督さんがきて、もろもろの打合せをしました。

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で、今日は演出家の言葉の使い方について書きます。

いろんな演出家がいると思いますけど、基本的には「嘘つかない」てのは大事だと思います。ハッタリかますタイプもいると思いますけど、いい俳優さんはそういうの敏感なので、偽物はバレて求心力失います。まあそういうのでうまくいっちゃう場合もあるので一概にダメじゃないんでしょうけど、わたしはキライなんで無視っす。

で「嘘つかない」についてなんですけど、率直にものを言うのも、たんに本音で喋ってればいいってもんじゃないわけですよ。演出したことがやってもらえなくってイチイチ怒ってたら身が持ちません。アホじゃないんだから。し、いい効果も産みません。

最大の失敗は、個々人が挑戦しなくなることです。

「できないことは怒られる」ていうマインドセットができちゃったら、無難な選択しかできなくなります。無難な選択の積み重ねが、刺激的で面白い演劇にはつながらないですよね。だから、

挑戦するといいことある

って現場にしていかないといけない。そのためにどう振る舞うかってことです。

単純に言えば、本音で挑戦してるさまを喜んでれば、自然とそうなると思います。

そうはいっても、演出家も人間ですから、いつも喜んでばかり入られないし、挑戦すべてがいい方向に行くわけではないし、挑戦に見えて身勝手な行為っていうのもあって、ここの線引は結構難しかったりする。

仮に、挑戦は作品のための選択、身勝手な行為は個人のための選択、としておきましょうか。でも、やっぱ見分ける切り分けるは相当難儀ですねえ。。。

モノゴトを伝えるには時期と場面と信頼関係とがあります。どこを外しても上手く伝わらない。

だから、演出家は基本的に率直な言葉遣いをしたほうがいい。その上で、言葉の使い方は注意深く、時期と場面と信頼関係を見定めないと、効果は上がらない。てことになるかと思います。

だから「時期が来るまで待つ」とか「今伝えても響かないと思ったら待つ」ていう選択も、あると思います。嘘をつく必要はありませんが、なんでもかんでも思ったことを伝えればいい、てことでもないってことです。

なんでこんなこと書くかって、わたし、そう思っていたからですね。余計なことまでなんでもかんでも正直に言ってた。それはあんまりよくないな、て体験で思いました。

一方で「こう見えたい」みたいなことってあんまり言わなかったんですよね。ゴールを設定すると、それだけで満足しちゃうというか、重要な部分の取りこぼしが起きると思っていて。過程を伝えて、そこを徹底した方がいいって思ってました。

でも最近は「こう見えたい」ていう場合も増えました。それは、俳優は「こう見えたい」というゴールに向けて、最適な行為をしてくれるよな、て思うようになったからです。ずれたらまた変えたらいいし。

でまあ、稽古場のことです。

通しのあと、わたしは『ゾーヤ・ペーリツのアパート』をどう持っていくか結構悩んでいて、それをチームに正直に伝えるかどうかも悩みました。結論としては『どうしていいか悩んでます』みたいなことを正直に伝えました。

方向は会ってるけど、まだ至っていない部分が多い。し、全員のアイディアがほしいし、もっと良くしたい。ためには、もっとみんなの力を活かすために、ここは率直に、あまり良くないって言ったほうが、よい選択だと判断したわけです。

その演出家の振る舞いが、時期や場面が最適であり効果するものだったかどうかは、公演をご覧いただけば分かるかな、と思います。ていうか、それまで分かりません。

正解が分からない選択をするのが、演出家の仕事ですからね。

____________________おしらせ____________________

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黒澤世莉です。

18回目の稽古は、3回目の公開稽古、ワーク・イン・プログレスでした。演出チームとしては、小道具など、舞台上で使うものは仮のものでもいいので全部集める期限がこの日でした。

この前日にどくんご『愛より速く』のゲスト出演などもありましたね。出演したみなさん、ありがとうございました。お疲れ様でした。楽しかったですね。

さて、時間堂ブログにて公開稽古(ワーク・イン・プログレス)の感想が出てますので、ご覧ください。

【随時更新】『ゾーヤ・ペーリツのアパート』ワークインプログレスご参加者の声
http://blog.livedoor.jp/jtc2009/archives/2021058.html

さて、演劇の稽古場というものは、なんでもかんでもスムーズ順調に進むってものではありません。小道具集めみたいな、スタッフワークの進行もそうです。また、シーンづくりにおいてもそうです。演劇に限らず、あらゆるプロジェクトがそうでしょう。

「いやー、今回マヂ順調だったわ―チョロいわ―」

て話は、あんまり聞いたことがありません。

演出家の重要な仕事に「待つ」というものがあります。たとえば「このシーン身体のキレよくしてよ」ていう演出があったとして、身体のキレなんてそんなすぐに良くなるもんでもない(よく見せかけることもできるけど)ので、しばらく待つ必要があったりしますよね。

小道具だって、蜷川組じゃないんだから「アレがほしい」ていった次の瞬間に出てくるなんてことはないわけです。

でまあ、「待つ」てのはつまり「信頼」なわけですよね。「いつかやってくれる」という期待。

もちろん、結果的に意にそぐわなかったり、時間切れになったりして、セカンドチョイスにするってことも含めてなんですけど。

まずは「待つ」ことが大事かなって思います。

で、稽古の中盤、から後半にかけて、一度作品が立ち上がってから、つまり「味わい」が分かってから「品質」を上げるところって、けっこうジワジワなんですよね。

成長曲線て、最初は勢い良く伸びるけど、あるところからはなだらかになるじゃないですか。で、そういうときって、やっぱり人間ヤキモキするんですよね。

そういうのも含めて、泰然自若として「待つ」、演出家が余裕があると「あ、この方向でいいのかな」てなる。まあ、そんなかっこ良くいかなくてカリカリしちゃったなってのが反省ではあるんですけど個人的には。

中盤に成長がゆっくりになるのは「当たり前」です。そこでヤキモキせずに、じっくり成熟して、次に化けるのを「待つ」忍耐力が大事。もちろん、稽古前半の「準備」がうまくいってること前提ですけどね。成熟させるタネ、基本の共有がなきゃ、なにを待っても出てこないから。

最後に責任とるのは演出家である自分なんだから、どーんと構えていたほうが、全体がうまく回ると思います。いや、これが人間力試されるところなんだよねー。いやはや。

で、「待つ」やりかたに二種類あるかなって思うってのが、このエントリの最後です。

「我慢」は、自分を殺して、ストレスを持っちゃうこと。
「辛抱」は、相手に委ねて、任せて待つこと。

日本語の語義は分かりませんけど、個人的にそう認識してます。なんで、「待つ」ときになるべく「我慢」しないで「辛抱」するように、意識してます。

イライラしない。大事。

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17回目の稽古は、抜き稽古でした。抜き稽古をしながら、映像の取材をしていただきました。そろそろ公開になると思います。

取材をしていただくっていうのは、ありがたいことですね。

「演劇をつくる」っていう行為は、演劇をつくっているひとたちだけでは完結しないんですよね。「演劇を観る」いわゆる観客がいないと、演劇は演劇にならない。観客がいない演劇はただのリハーサルで、たとえ劇場でやっていても、観る人がいないと演劇にはならないと思うんです。

神様に奉納してるって思えば、また別かもしれません。ただ、わたしはそういうふうには思えない。し、たとえ神様に奉納するものだとしても、「やるひととみるひと」がいる状態でないと、奉納って言うに足る熱量は生まれないんじゃないかしら、とか思います。

というわけで、つくるひとを集めるのも大事なとこですが、観るひとをあつめるのも同様に大事なわけです。そして、観るひとを集める行為は演出ではありませんが、演出として協力できることは協力したほうがいいですよね。

だって、観るひといないと、演劇にならんわけだから。経済的な事情はおいといても、やっぱり客席に観客がいて、はじめて演劇なわけです。

トップの写真は、娼館で踊り子が歌うシーンです。このシーンを持って、どくんご「愛より速く」という、全国ツアー中の公演にゲスト出演してきました。これもプロモーションの一環で、どくんごと時間堂の出演者に協力していただいて実現しました。

なので、稽古の時間が確保したいけど、取材を受けるとか、舞台美術を作るとか、勉強会をするとか、パンフレットの撮影をするとか、衣裳合わせをするとか、ゲスト出演の稽古とか、演劇の稽古の時間は減ってしまうけど、演劇づくりには重要なモノゴト、もまた大事にしたほうがいいわけです。

このへんは演出マターじゃなくてプロデューサーマターだったりもするんですけど。すげー頑固にエクストリームに「最初に出た稽古予定は変更など許さん!」ていう演出家もありかもしれません。

けど、ある程度の柔軟性はもっていて、プロモーションとか、手伝うのも大事だと思いますよ。

いま制作チームに頼まれている、〆切を遅らせて申し訳ないなーと思っている演出家、黒澤世莉が書きました。

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黒澤世莉です。

16回目の稽古は、衣裳合わせとパンフレットの撮影があり、そのあとシーンの稽古でした。

衣裳あわせの合間に衣裳さんとも打合せます。ヘアメイクの方とも打合せます。そう、演出家とはつまり、打合せ家なのです。

演出家の打合せっていうのはセットです。必ずやります。やらない演出家はいません。で、稽古の前後にはいることもありますし、稽古の最中に入ることもあります。

演出家と演出助手は、俳優が休憩をしている間も、スタッフのみなさまと打合せていたりするので、実質休憩ゼロになったりします。

さて、稽古の適切な休憩ってどれくらいなんでしょうね。わたし、これいまだにわからないです。

現場の文化によっても違いますからね。わたしはタバコを吸わないので、煙草休憩という概念がなく、タバコを吸う俳優さんから評判が悪いです。昭和の昔は稽古場でスパスパタバコすってたので、そんな概念そもそもなかったりするわけですが。

ごはん休憩も「1時間だと長過ぎる、集中が切れちゃうので、短めにして」といわれるときも「30分は短いんでもうちょっとください」といわれるときもあって、さてはてむむー、となります。

個人的には、休憩してなくても大丈夫なんですけどね。演劇は遊びなんで、あんまり休憩なくてもいいやー、てなります。

が、人間はそうじゃないですからね。俳優さんは体力も使いますし。気分転換が作品に生きるときもありますし。なにげない休憩中のやりとりが、素晴らしい発見になりもしますし。

休憩ってどれくらいがいいんだろ、て日々悩んでます。

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黒澤世莉です。

『ゾーヤ・ペーリツのアパート』は30回の稽古があります。15回目の稽古なので、よやっと半分ですね。ここまで6週間かけているので、だいたい週2~3回のスケジュールで稽古していたことになります。この先は稽古の密度を週4回から週6回と密度を上げていきます。

3回目の通し稽古の日でした。9週間30回の稽古の中で、7回の通し稽古を設定してます。最後の3回は、劇場に入る一週間前にまとめてあるので、8週間で4回の通し稽古を設定してます。だいたい2週間に一回くらいですね。

この日の通し稽古は、照明さんにも来ていただいて、観ていただけました。3週間前にそれなりに作品のかたちになっていて、各セクションのスタッフさんに観てもらえてると、かなり安心だと思います。

各セクションというのは、制作、振付、作家、舞台監督、美術、小道具、照明、音響、音楽、衣裳、映像、ヘアメイク、撮影、広報、などなどですね。創作に関わる部署ほど、早めに観てもらって、演出チームおよび各セクション横断的に、密なコミュニケーションを取ってもらうと、とっても良いと思います。

今回で言えば、振付と音楽は密接にやりとりしていただいてます。美術と衣裳もですね。これをつくるからアレをお願いしたい、みたいなやりとりが、作品を豊かにしてくれて、とてもありがたいです。

通し稽古では、劇構造に関わる大きな演出替えをしました。どんな変更かは、公演初日までわかりません。このときの変更がそのまま残るかも、今の段階では分かりませんし。最終的に、いい形で作品に寄与できればなと思っています。大きな変更は、俳優たちにも負担が大きい中、よく応えてもらっています。

写真は、北海道から観に来てくださった、翻訳の秋月準也さん(左から三人目)。「自分の日本語が残っていてよかった」とおっしゃっていただけました。よかったです。

そして、頼れる演出助手チーム、左から、北村美岬、田中星男、越寛生。

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黒澤世莉です。

最近一番記憶に残った、ともだちに言われた言葉です。

腹が立ったということは、図星なんでしょうね。バイ川原泉。

「お金持ち嫌いでしょ? なんで?」

とも言われました。

貧乏はやだなー、と思っていて、貧乏じゃなくなりたい、お金に不自由しないようになりたい、て思ってたんですけど、まだまだ浅いところで考えてるんでしょうね。

くそー。

生まれた時から貧乏人です。なかなか、染み付いた意識は変わらないですね。

でも、ホントに貧乏嫌なので、もう、卒業します。

貧乏キライ。お金好き。

というわけで、相談に乗ってくれたなわそう、ありがとう。

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黒澤世莉です。

14回目の稽古は、タタキといって、舞台美術、いわゆるセットを作る日になりました。

夜はもともと勉強会だったのですが、昼の稽古の予定を変更しました。とても忙しいスタッフさんの都合が、たまたまばっちりあったのもあって、です。

だれも稽古を減らしたくないんですよね。でも、この時期に「本物と同じ機構のセット」が出来るのは、作品作りにとてもプラスです。稽古を無くす意味がある、と判断しました。

30回「も」あるのか、「しか」ないのか、判断の別れるところだとは思います。稽古を無限に減らせるわけでもない。稽古を減らさず作れたら一番だけど、低予算ではそうもいかない。

作品が一番良くなるために、いま何が必要か、どういう時間の使い方がいいよか。

もちろん、みんなが幸せになる選択だけあればいいけど、難しい場合もある。稽古を減らす、とかもそう。お金のかかる変更、とかね。

誰かが決めなくてはいけない、誰かにとって不利になったりすることを決めるのが、演出家の仕事です。

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一目惚れはしない黒澤世莉です。写真は『ゾーヤ・ペーリツのアパート』リハーサルにおいて非常に重要な役割を担っている、ズーなんとかのうさぎ。面白いらしいね、ズーなんとか。

さて、あなたはどんなふうに人を好きになりますか? 一目惚れしますか?

わたしね、したことないんです。一目惚れ。ほんとにそんなふうに「恋に落ちる」なんてことあるの? て思ってます。まあ、あるんでしょうね、話を聞いていると、私の方が少数派なので。

で、じゃあどういうふうに人を好きになるかというと、時間をかけて好きになります。出会って数ヶ月とか数年して「ああ、この人好きかも」ってなるわけですね。気長―。

と、いうところまでは自分で把握してました。最近気づいたんですけど

「これ、ひょっとして嫌いになるのも同じメカニズムじゃね?」

て思って、思い返してみると、やっぱそうなんですよね。第一印象で「こいつ嫌い」てなることはなくて、時間をかけて嫌いになる。「ああ、このひとあわないわ」みたいな。

だからなんだって? なんでもないですよ。個人ブログなんだから、教訓もへったくれもない独り言だって、たまには書いてもいいだろ。

まあ「一目嫌い」は別として「一目惚れ」って状況は、いっかい体験してみたいもんです。死ぬまでに、あるかなーそんなこと。40年間ないからなー、なさそうだよなー。

そうこうしているうちに、集中稽古前のオフは過ぎ去っていくのでありました。

そうそう『ゾーヤ・ペーリツのアパート』がヤフーニュースに載ったそうですね。




ありがたいことです。色々なメディアに取り上げていただいて。他メディアのインタビューも、そろそろ公開されるとかされないとか。お楽しみに。

「しばいのまち」webにて、連載の2本目も書かせていただいてます。まもなく3本目が公開されます。

しばいのまち
【連載企画】第2回:演劇の流行り廃り(時間堂・黒澤世莉)
http://shibainomachi.com/2016/07/09/0052/
今回は演劇の「流行り廃り」について書いてみたいと思います。結論を先に書いてしまうと「流行り廃りを意識するなら演劇なんかやめちまえ」です。

以上。
お時間あったら読んでください。正直に書きました。

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いま配布中のカンフェティにも、ちょこっと書かせていただいてます。チェックしてみてください。

さあ、稽古のない日は〆切との格闘です。がんばりまーす。

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黒澤世莉です。

いままでの演出ノートまとめはこちらから。

【まとめ】黒澤世莉の演出ノート2016【随時更新中】
http://handsomebu.blog.jp/archives/52375688.html

13回目の稽古については「俳優と身体と時間」について書こうと思います。

この日は前日の通し稽古を経て、大きな演出変えがありました。演出の変更と決断については、また次回。

その後、小林真梨恵さんの振付の時間です。いままで積み重ねてきた実験を経て、個々の振付をブラッシュアップしたり、全体の振りを調整したりしました。

「ギャロップは鬼練ね」とニコヤカに語る真梨恵さん。

振付は、与えられた振りを覚えるだけでは足りません。与えられた振付を、消化して自分のものとして、要素を加えてはじめて成立します。そういう意味で、振りと台詞は似たようなものとも言えるでしょう。

初心者は、台詞を覚えたらゴール、だと思ってしまいます。しかし、それはスタートであって、ゴールではありません。覚えた台詞を、どんな体勢でも、感情でも、環境でも、速度でも、大きさでも、出せるようになってからがスタートです。

さらに、振付は、身体を上手に使えるよう成長できる部分もあります。与えられた振りを美しくやためには、柔軟な身体や充実した体幹が必要だし、そのための意識も発達します。

まあだから、たんに、振りを覚えるってことではなくて、身体の訓練だと思って楽しんでできる俳優さんは、伸びるよなあ、て思います。

大勢の稽古の時に、自動的におやすみモードになっちゃう方もいらっしゃいますが、もったいないなー、て思います。ハッスルしましょうよ―主体的にさあ。そういう俳優さん、好き。

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黒澤世莉です。写真は「大繁盛のブティック」の中を駆け抜ける阿波屋鮎美。

いままでの演出ノートまとめはこちらから。

【まとめ】黒澤世莉の演出ノート2016【随時更新中】
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というわけで演出ノート12回目です。『ゾーヤ・ペーリツのアパート』12回目の稽古は、2回目の通し稽古であり、2回目のワーク・イン・プログレスでもありました。公開稽古で通し稽古やるのはけっこう普通だと思いますが、この段階での通し稽古は、全体の構成は分かれど、細部は全然つまってないものです。逆に、そういう状態が見られるのも、貴重なのかなあ、て気もします。

ご来場の方のご感想はこちらで読めますよ。

【随時更新】『ゾーヤ・ペーリツのアパート』ワークインプログレスご参加者の声
http://blog.livedoor.jp/jtc2009/archives/2021058.html

通し稽古を観てもらって、かつ感想までいただけるなんて。ありがたいことですね。

演劇作品と観客との出会いは、通常公演初日まで待たなければいけません。公演初日の客席で「あ、ここに反応するんだ」とか「あ、ここはもっとあっさりでいいんだ」とか「これじゃ全然届かないんだ」てなことが、分かってくるんですね。

もちろん、公演初日の前に必死こいで「観客はこう反応するだろう」という「想像」はしますが、その「想像」が全部大正解、てわけにはいかないもので。やっぱり「現実」は結構違う、事が多い。

俳優たちも同じように、観客の反応で、いろいろなことを調整していくわけです。

というわけで、公演初日から、初日の観客の反応を観て、調整をかけていくわけです。ダイナミックに変更をする場合もあります。それは、ほんとにケース・バイ・ケース。

という、公演初日から2日目に起こるようなモノゴトを、先行して体験できるのは、ワーク・イン・プログレスに観客が来てくださるからこそ、ですねえ。ありがたいことです。そういう場で通し稽古を出来たことは、稽古何回分のも価値があると思います。

次回は、13回目の稽古で小林真梨恵さんが振付をしていたので、俳優と身体と時間について、書こうかなと思います。

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