「ハンサム部」こと旅する演出家:黒澤世莉blog

Director Seri Kuroawa's blog / 旅する演出家 黒澤世莉のblog

April 2016

28
黒澤世莉です。写真は雑司が谷鬼子母神に出現したテント。ゴールデンウィークだしイベントがあるのかしら。

芸術とお金の話を書きます。

芸術は儲からん、みたいな話じゃないです。いや、それはそれで悩みごとですが、今回の主題はそこじゃないです。

二点あって、自分は正当な報酬を求めているが、自分が雇う芸術家には正当な報酬を払えていない、というジレンマ。

もうひとつは、芸術でお金を稼ぐ、なんてことがそもそも間違っていて、芸術ではお金は稼げないんだ、という意見と、いや芸術だってお金を稼げるんだ、現に稼いでいるひとはいるじゃないか、という意見の対立。

さて、どこから取り掛かろうかな。

なぜわたしがこんなことを悩んでいるかというと、自分がうまいことお金を稼げていない、ということが原因です。もし稼げてたら「は? そんなの稼げてない奴の実力不足じゃね?」とか言ってたかもしれないくらいには、お調子者ですからね僕は。

自営業的な生き方していないと、なかなかこういうふうに考えないかもしれないですね。時給とか月給とかだけで働いてると、あんまり考えないことかもしれません。

考えれば考えるほど、お金というのは不思議なものです。そもそも成り立ちからして謎です。なぜ金属片や紙切れをありがたがるのか。それは「人間のほぼ全員が円という通貨の価値を信用しているから」ですよね。別に紙や金属片に価値があるわけではなく(物理的な価値はあるけど)、この信用というのが鍵なわけです。

ジンバブエドルとかだと、信用がなくってインフレで大変なことになっちゃったりしたわけで。

でも、日本円だって、太平洋戦争のあとはけっこうなインフレで大変だったわけで。それは信用がなかったからですよね。カネよりコメだったわけです。社会が乱れると、お金の価値ってゼロになるかもしれないわけですね。ああ、怖い。

しかも、いまはビットコインとかも出て来ているわけですよ。いままでは国家がお金の信用を引き受けていたわけですが、これからは変わっていくのかもしれません。うひゃー、未来的。

話を戻しましょう。お金ってつまり信用です。そして、信用ってのはつまり幻想ですよ、こんなハイパーインフレとかリーマン・ショックとか起こしちゃうものが幻想ではなくてなんなのさ。最も身近なファンタジー、それが「お金」だと思いますよ。

で、その信用を、「誰か」「何か」に価値を認めるから、支払うわけです。

この「誰か」と「何か」というのがまたややこしいです。

たとえば、「何か」。僕は人気アニメ「おそ松さん」にはなんの価値も感じないわけですが、これが尾崎冴子といううちの劇団員であれば、イベントに○○円ポーンと出しちゃうわけですよ。逆に、この「何か」がカレー、たとえば大阪の「旧ヤム邸」がイベントで屋台出してまっせ、てなったら僕はポーンとお金使っちゃうけど、冴子は「ふーん、美味しそう」で終わりですよね。

「何か」の価値っていうのは「誰か」が決めるもの。だから「何か」の質の高低は、必ずしも重要じゃないことも多いです。甲本ヒロトが「売れてるものがいいものなら、世界一うまいラーメンはカップヌードルになっちまう」的なことを言ったっていうのは有名ですが、ま、そういうことですよね。

「たくさん売れているもの ≠ 一番質の高いもの」です。もちろん、そういう場合もあると思います。質が高くて安くて誰にでも手に入る、そういう本当に費用対効果の高い「何か」だってあるでしょう。

だから、売れているっていうのは、「何か」の価値の一面でしかないわけですよ。ただ、こと「お金」に関して言えば、売れているものに当然多く回っていきますよね。お金を使ってくれる「誰か」が多い、あるいは、数は少ないけど額が「多い」てことが、「何か」にまつわる色々にお金を稼がせます。

これ自体は全然健全だと思います。ただまあ、結局「売上が多い」ことだけが目的になっちゃうと問題も起こってきて、たとえば「すげー売れてるけど健康にあんまり良くない素材だよ」ものとか「すげー安いけどめっちゃ労働者をこき使って過労死してるひとがいっぱいいる」とか、そういうの、やっぱダメじゃない。

「何か」にまつわるものが「誰か」をめっちゃ不幸にするってのは、問題よね。

「何か」をつくるときには、それにまつわる全体がハッピーな状態を心がけたほうがいい。お金のまわりだけじゃなくて、労働環境とか、環境への影響とか、そいうのも含めてね。ただまあ、今回はとりあえずお金の問題に話を絞ります。

たとえば、プロフェッショナルの大人に仕事をお願いするなら、最低でも1日2万円は払いたいじゃない。自分だって、それくらいは最低欲しいし。

だって、月10日稼働したって20万円よ。年収240万円よ。これに国民健康保険、年金、税金がかかってくるのよフリーランスは。日給2万円であっても、ぜんぜん憲法の保証する最低限度の生活しかできないでしょ。

これなんかも、丸尾聡センパイなんかは「セリくんがそんなこと言っちゃダメ。5万円はもらいましょう」て言ってくださるし、5万円で10日可動で50万円で、やっと年収600万円ですね。子どもや親や、家族を養う、て考えたら、これくらいあっても多くはないですよね。

でまあ理想を追えばきりがないけど、大人には2万円、てことにしましょうか。一旦ね。

それで、自分が演劇をつくるときの話にうつります。いろんな慣習とか業界の常識とか無視して、さらに単純にするために、人件費のみをやりくりする話にしてみます。関わる人たちの稽古から作業から、全部1日2万円支払ったとしてます。

たとえば次の時間堂「ゾーヤ・ペーリツのアパート」で考えてみましょうか。考え方を簡単にするためにザックリ行きますね。

出演者19人で、稽古場につくスタッフが仮に3人いるとしましょうか。30回稽古があって、全部に2万円をお支払いしたら1,320万円です。これが稽古ね。

公演を足しましょう。出演者に、スタッフさんをプラスして、大雑把に見積もって5日間40人拘束したとしたら、400万円かかります。あわせて1,720万円ですね。しかもこれにはプラン料などはふくまれません。

仮に、これで芸劇シアターウエスト6ステージ満員にしたとして、1,200人の有料動員でこの人件費を賄おうとしたら、14,333円のチケット代になります。これに劇場費用や制作美術照明音響衣裳宣伝などの経費は別にかかります。

いま、14,333円を時間堂に支払って下さるお客さまが1,200人いるとは、ちょっと考えにくいですね。相場観から言っても高すぎるでしょう。

だから、いまのやりかたで、いまの日本の環境で演劇をやるかぎり、出演者やスタッフに、自分が求めるような謝礼を支払うことは非常に困難です。ということは、自分が求める謝礼をもらうことが非常に困難だということに繋がってきます。

少なくとも、お客さまらのチケット代だけで演劇公演を経済的にまわしていく、というのは、相当困難なことだと思います。よく言われることですが、演劇の売上の上限は、どうしたって劇場の客席数に限られてしまいますからね。

だから、色々なひとたちが知恵を絞って、グッズを売ったらいいんじゃないかとか、映像コンテンツで広げたらいいんじゃないかとか、やってらっしゃるわけすね。

「お客さまのチケット代だけではそもそも経済的に回らないんじゃね?」みたいな状況を受けて、最初に書いたような「演劇で稼ごうという発想自体が間違っている」という意見が浮き上がってきます。

ま、芸術をお金に換算しない、てのは、経済的理由だけで主張されるわけではないです。芸術というものの価値をお金に換算することがそもそも間違ってる、ていう考え方もあります。

芸術活動はお金に換算できない。だから、公共ないし私設の補助金を使うか、または、自分で他の生業を持ち、その稼ぎで芸術活動する。この二つの考え方がもっぱらだと思います。ほかにあったら教えてください。

芸術が商業主義に堕する、みたいな発想自体は、理解できます。マーケティング先行で作られる舞台芸術が、はたして芸術的価値が有るのか、とかね。

でも、個人的に、そういうものを否定する気にはあんまりなれません。どんな作品であれ、現場はがんばってるだろうし、それを喜ぶ観客がいる。劇場が社会の中で存在意義を持っている、という状況は、ある種の商業主義が担ってくれているわけで。それは歌舞伎や宝塚や劇団四季や2.5次元であったりするわけですが。

だから、僕個人は商業演劇にいってお金を稼ぐってことをすることは、やればいいんですよね。ただ、お声がかからないだけで。

じゃあ、営業すればいいんでしょうね。営業とか苦手でね。営業するくらいなら、座して死を待つほうがマシです。ウソです言い過ぎました。

でもね。

演劇でお金を稼ぎたいの? て話にそもそもなってきますよね。

お金稼ぎたいなら、他に方法あるんじゃないの? 黒澤世莉さん。て。

そもそも、何で演劇やってるんだ?て話になりますよ。少なくともお金を稼ぐため、ではない。いまは仕事になってますけど、仕事にしたくてはじめたわけではない。

演劇で何がしたい、て、楽しいから演劇やってるだけですから。

楽しくなくなったら、やめたらいいんです、演劇なんてね。仕事じゃないんだから。(いやいま仕事なんだけどさ、僕にとっては)

演劇で誰かの世界をひっくり返したい、とか、演劇を志す若者たちのために環境を整えたい、とか、そういう思いもあるけども。

うーん、演劇とお金の相性ってよくねーなー、てのが、いまの結論です。

でも、途中でちらっと書いたけど、宝塚とか松竹とか四季とかよしもとは、商業的にうまくやってるから、全然ビジネスにはなるんだと思いますよ。ただ私、自分がそこからあまりにも遠いところにいて、仕組みがあんまりわかってないだけです。あとそこにまつわる人がしあわせかっつうと微妙だなー、て思うところもあるので、微妙っす。

なにぶん狭い世界の見聞で書き散らかしておりますので、間違っている部分もあるかと思います。読者諸賢のご助言、ご意見など、お待ちしております。

同日追記2
Fb上で諸賢が語らうコメントは、直接こちらをご覧ください。本文よりよほどためになります。
https://www.facebook.com/seri.kurosawa/posts/1153280261391480

20160502追記
このエントリがとても人気記事になってうれしい黒澤世莉です。が、こういう記事は伸びるのに公演情報はさっぱり伸びないんですがどういうことですか。本業は演出家なので、もしも興味を持ったら、次回公演時間堂「ゾーヤ・ペーリツのアパート」公演情報もチェックしてくださいね。オトクな先行販売もあります。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52370530.html

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レパートリー稽古を終えた黒澤世莉です。

ご覧の通り、熊本からアベックラーメンを広めるため、酒井絵莉子さんがお越しになりました。鈴江さんの本を上演されたことがあるそうで、稽古を観てもらえてよかったです。

熊本は被害が大きいところは大きいけど、元気なところは元気なので、ゴールデンウィーク熊本遊びに来てください、だそーです。



動画もとりました。

熊本、仕事がなけりゃ行きたいなー。日奈久温泉また行きたいしな―。からしれんこんとちくわサラダといきなり団子が食べたいです。

次は熊本で会いましょう。上通りのいい店教えてください。

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歯磨きジプシー、黒澤世莉です。

私は忘れ物をよくします。これは二つの意味があって、ひとつは買った歯ブラシセットをなくします。だいたいGUMの携帯用歯ブラシ歯磨き粉セットを買ってますが、歯磨き粉が無くなる前になくすので、ある意味歯磨き粉には困ってませんでした。

もうひとつは、なくなった日用品を買い忘れます。間違いなく一位はティッシュですね。買い置きが嫌いなので一箱ずつ買うのですが、まあ買い忘れてしばらくティッシュなしの生活をおくることなんてザラです。

で、ある日めずらしく「そういえばヘヤワックスと歯ブラシがなくなったから、ドラッグストアへ行こう」て思い出せたんですよ。すごくないですか。奇跡です。

と、いうわけで、近所のツルハドラッグですよ。北海道以外だと雑司が谷以外にあるのあんま見ないですけどね。24時間やってるんで、不規則人間にはありがたいです。

ヘアワックスは、時間堂ソシオの定元さんがくださったものが大変良かったのですが、それもなくなったので、どこでも買えるこいつです。

髪の毛ガチ固い私にとって、これのピンク以外使う人の気持ちが分かりません。え、まとまるの? かたまるの? ピンクでやっと4時間くらい固まってくれます。

で、これは問題なくゲット。問題は歯磨き粉ですよ。なんかねー、あんまりお気に入りの歯磨き粉ってないんですよねー。GUMにしとくかなー。でもなー。いいやつにしようかなー。でも歯磨き粉で千円だすのもちょっとなー。と思いつつ見てると、手頃な値段で面白そうなの見つけました。

スミガキってなんやねん。Amazonレビューを見てみました。
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へー、良さそうじゃん。

と思って買ってみました。

使用感はですね。いいんじゃないすかね。

いや、まだあんまり使ってないんでこれからですけど、なんだか良さそうな気がします。わりと、炭製品好きなんですよね。炭石鹸とか。炭バームクーヘンとか。

なので、これもいい予感です。

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黒澤世莉です。当ブログが毎日更新になってから、無事に二年を経過しましたので、読者のみなさまに感謝イベントを開催したいと思います。それにあたりまして、アンケートをお願いしていましたよ、というエントリはこちら。

祝・日刊ハンサム部2周年。感謝イベントアンケートするよ、ご協力おねがいします。
http://handsomebu.blog.jp/archives/52368801.html

自転車の破壊などがあって遅くなりましたが、アンケート結果を公表したいと思います。コメントは、ちょっと良くないかなーと思ったので、ネットリテラシーを気にして、公開しません。あしからず。でも、みんな目を通しましたよ。みなさん、あたたかい応援メッセージありがとうございました。コメントだけでもやってよかったです。

感謝イベント、興味ある?
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「ないよ」2件いただきました。興味が無いのにご協力いただくなんて、なんて良い方なんでしょう。ありがとうございます。

あ、そう。じゃ、どんなのだったら行きたい?
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複数回答OKでした。「2時間くらいの飲み会」「カレー食べるやつ」が人気でしたね。地味に「一泊二日でデジタルデトックス温泉だな」が日帰り温泉より人気なのよね。6人来てくれたらできるなあ。企画しちゃおうかなあ。個人的にはガチ出会い合コンWSやりたかったなあ。みんな照れちゃって。もう。

その他には、
・黒澤さんトークショー兼ロシア取材報告会
・ゴミ拾い
・子どもと一緒に遊べるやつ
・世莉さんの一人芝居


というご意見をいただきました。ありがとうございます。子どもと一緒に遊べるやつやりたいね―。

予算いくらくらいまで出す?いやものによるだろうけどさ
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2,000円から5,000円で80パーセント以上をしめています。けっこうお金払ってもいいって思ってらっしゃるんですね。ありがたいです。それ以上の価値をお返しします。

さて。
では、ご意見で人気のあった

・2時間くらいの飲み会 無料
・カレー食べるやつ 4~5,000円

と、個人的にすげーやりたい

・一泊二日でデジタルデトックス温泉だな 15,000~20,000円
・ガチで出会える合コンワークショップ 4~5,000円

を企画しますっ。

というわけで、企画立案、日程調整ののち、来週あたまに【祝・日刊ハンサム部2周年】感謝イベント大発表します。いつごろやってほしいとか、値段安くとか、高くしていいからデラックスにせよとか、あったら教えてください。

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黒澤世莉です。

草枕というカレー屋さんで週に二回くらい働いています。

「おつかれさまでしたー」

と言いつつ階段を降りて、自転車の鍵をはずし出発しようとしたら、なにか変です。

よく見てみたら、後輪が壊れてました。

「ひゃ」みたいな変な声が出ました。自分から。

なぜだ。誰かがイタズラしたのか。でも、周囲の他の自転車は無傷だしなあ。車がぶつかったのか。こんな細い路地のこんな隅のタイヤに器用にぶつかるかな。うーん。解せぬ。

さて、どうしよう。困った。まずこのままでは帰れない。乗れないからね、当たり前だけど。かと言って放置していくわけにもいかないし。思案の末、といらえず草枕に戻って、一旦預かって貰えるか聞いてみよう、と思い至りました。

私「あのー、すいません。カクカクシカジカで(と写真を見せる)」
Nさん「これはイタズラじゃないでしょ。そういえば、トラックがそのへんに来たときパーンてすごい音がしてたけど、それかなあ

有力情報ゲットだぜ。

だが、もうトラックはいない。この憤りはどこへ持って行ったらいいんだ。

そして、よく考えたら、後輪だけ変えれば自走で帰れるんじゃない? さいわい、近所にみんな大好き自転車専門店、ワイズロードもあるしねっ、お金はかかるが。

私「よくよく考えてみたら、後輪買って自走で帰ればいいかと思うんで、やっぱ、いいです」

と、NさんOさんに謎の気持ちを与えつつふたたび草枕の階段を降りる私でした。そういえば、こういうときって警察に言ったほうがいいのかな? クレジットカードの対物保証とか出ないかな、て去年全部のクレカ解約してるや―ん。まあ、ともかく、犯人が見つかることはないだろうけど、この憤りにやり場は与えてやりたい。

と、いうわけで徒歩5分の交番に来ました。この斜向かいのファミマでは円の教え子Sが働いています。豆知識。

私「あのー、すいません。カクカクシカジカで(と写真を見せる)」

と、事情を説明すると「とりあえず現場見ましょうか」てことになって、警察官二人と現場に戻る私。

私「こういうことはよくあるんですか?」
警察官「いや、めったにないですね」

その際、タイニイアリスのあたりで、演劇映像がらみのお知り合い、SのさんとHさんに会いましたね。狭いね新宿。

警察官お二人と現場に到着。

警察官「あー、これは人力じゃ無理ですね―」
?「何かあったんですか?」

と、お向かいのバーのイケメンが話しかけてきました。カクカクシカジカと話すと、

イケメン「ああ、トラックがこの路地から出てくるときに、パーンてすごい音がしたんですよね。30分くらい前かなあ」

目撃証言2ゲットだぜ。警察官とも話して、トラックが路地から左折する際、内輪差で荷台を自転車のタイヤに引っ掛けたんじゃないか、と話しました。

警察官「じゃあ、大体わかったんで、交番戻りましょうか」
私「自転車は持って行っていいですか?」

というわけで、自転車を担いで交番へ戻り、交通事故の届けの相手がいないバージョンを書きましたよ。

警察官「正直、相手が見つかることはないと思います」
私「ですよね」

警察官えらいひと「もし保険とかで必要でしたら、○○警察署に電話して、事故捜査係を呼び出して、物件事故番号を聞いてください。証明書が必要でしたら、近所の交番でも手続きできますので」

だそうです。物損の保険に入ってるクレジットカード持ってる方は、警察に届け出ておいたほうが良さそうです。ま、わたしには関係のない話ですが。

で、後輪の壊れた自転車を担いで、その交番から歩いて2分のワイズロードに行きました。

私「あのー、すいません。カクカクシカジカで(と現物をみせる)」
店員「わあ、これはひどいですね」
私「人間の力ですかね?」
店員「いやそれは無理でしょ」
私「フレームがいってたり、リアディレイラーがイカれてなかったら、後輪買って付けていきたいんですが」
店員えらいひと「ちょうどR500で安いのがあるよ」

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ほんまやー、ラッキー。チューブとタイヤもついてて前後輪でお買い得やー。事故貰ったおかげでいい出会いがあったわ―。

って。

いやいや。

思いませんから。

でもまー、いずれはホイール変えようかと思っていたので、これも機会と割りきって、R500に付け替えることにしました。

アマゾンよりも安くて、チューブもタイヤもついてくるなら、お買い得じゃない。評判もいいし。てか、前使ってたのでいいのは知ってる。ほんとはMavicとか履かせたいけどねえ。。。いつになることやら。。。

私「壊れたホイールは処分してもらえますか?」
店員「800円かかります」
私「持って帰ります。袋に入れてもらえますか?」
店員「ゴミ袋みたいなのでもよければ」

というわけで、ホイール交換後の車体はこちら。

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かっこ良くなっちゃった―。

で、壊れたタイヤを片手に自走して帰りましたが、いまのところフレームやディレイラーは大丈夫そうです。むしろホイールが良くなって、若干走りが向上したような気がします。まあ、これは気のせいかも分かりませんが。

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帰り道の青空。目に沁みるぜ。

さて。

この持って行きどころのない思いと、軽くなったお財布をどうしたらいいでしょうか。

わたし、決意しました。

この壊れたホイールを使って、セリボンヌ・クロサワとして現代美術家デビューします。

作品ができましたら、Blog上でお知らせします。

乞うご期待。

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MacBook Air late 2010は、メモリー不足だしそろそろ新調しないと作業が滞るなあ、という話はよく書いていますが、昨日の〆切2本を今日思い出すにあたって、自分のメモリー不足が深刻な黒澤世莉です。人間はメモリー増設できません。

というわけで、本日はひさびさに読んだ本でも紹介しましょうかね。


ミハイル・ブルガーコフ「犬の心臓・運命の卵」

面白かったです。読みやすい中編二作品。
ブルガーコフちゃんはそうとうへそ曲がりだったんだろうなー、て思います。ちょいちょいヒドいギャグを挟み込んでくる。けっこう笑えないレベルでやってる。えーそこまで書いちゃうんだ、みたいな。メイエルホリド、殺してるし。作中で。しかもそのあと、スターリンに粛清されて死んじゃうメイエルホリド笑えない。。。

正直、当時の体制批判が盛り込まれていると、あとがきや批評では読みましたが、どこまでそれが分かったかと言われると怪しいレベルの理解です。

考えちゃうのは、それソビエト政権下でやってるっていうのがすげーな、と。マヤコフスキー殺されてるし。ふつーに命がけでしょ。

こっからさきは研究でもなく印象論です。

ブル先輩、義憤とかではなさそうなんですよね。ほんとに書きたいから書いてるんだろうなあ。上流スラブ民族の古き良き文化が失われて、わけのわからない灰色の無教育無教養無分別な酔っぱらいがえらそうにふんぞり返って、住み心地のいいアパートを侵略してくる。それが許せない、ていう、すげー個人的な動機を感じる。

それに対して、命がけっていうのがすごいなーって。かっこ良くないですか。義憤や、世界のためじゃなくて、自分の世界のために殉じるって。昔の文士や演劇人はすげーなー、て素直に感嘆します。

「ゾーヤ・ペーリツのアパート」もそうですし、他の戯曲もそうですけど、とにかく、自分のアパートにプロレタリアートが入ってくるってことに対して、登場人物がつねに嫌な顔をする描写が出てくるんですが、もう出て来過ぎなんで、よほどそれがイヤなんだろうなって思います。

でもね。

これって見方を変えれば、住む場所のなかった人間たちが、家、つうか部屋、を手に入れられたわけだよね。世の中の状況が変わったおかげで。その前の時代だったら、寒空のもとロシアの冬で死んでたかもしれないわけだよね。

そもそも上流階級たちは、労働者つうか奴隷階級を支配していい生活をしていたわけで。だから上流階級は余裕があったわけで。

ソビエト政権下の政治が良かった、とは全然思わないけど、じゃあ帝政ロシアのほうが優れていたかって言われると、そうかなあ、て首を傾げるよね。

これ、リリアン・ヘルマン「森の別の場所」やってたときも思った。1880年のアリゾナの話だけど、南北戦争の後で、南部の上流階級が落ちぶれてるのね。古い暮らしにしがみつこうとするんだけど、そしてそれが甘美で優れたものみたいに書かれているんだけど、黒人奴隷の上に成り立った暮らしだからねえ。そりゃ、ダメでしょ。今視点で見たら。

「桜の園」もそういう視点で見たらダメよね。農奴搾取してっから成立するわけで。

もちろん、搾取される側にも「古い文化の方がいいわい」って人もいたわけだけど。

とりとめもない話になっちゃったけど「あのころは良かったわねえ」みたいなこととか「いまの世界はどうなっちまったんだ」みたいな考え方っていうのは、あやうい発想だなって思います。べつに共産主義を肯定するわけじゃないけど、生まれながらに立場が固定されていて、本人の努力では解決できないことに縛られてる世界は、ダメだと思うのよ。

今現在のわたしたちの生活だって、貧しい国の児童労働者の低賃金労働で成り立ってる部分てきっとある。いますぐそれを解決できるわけではないけど、そういう世界に生きていて、それを変えることが必要なんだ、て思って生きています。私は。

ま、自分がサバイブするので精一杯ですけどねっ。いま。まあ、まずは自分が生き残らないとね。

しかし、ブルガーコフ先輩のように、命がけで演劇出来るのかなあ。そんなことをつきつけられた読書体験でした。

時間堂「ゾーヤ・ペーリツのアパート」も面白いから見に来てね。7月29日〜31日東京芸術劇場シアターウェストだよ。

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タンブラーを無くした黒澤世莉です。二ヶ月ぶり5度目。

いま白湯ちゃんにはまってます。

味の強い飲みものは、あんまり好まなくなってきて。いやもともとあんまり好きじゃないんですけど、ジュースとか炭酸ジュースとかコーラとか。

2014年の「衝突と分裂、あるいは融合」に出演してくれた、福岡の富田文子さんがやたら白湯飲んでて「お湯のなにがいいんだろう」て思ってたんですが、かんぜんにはめられましたね。

朝起きて最初に口にする白湯と、夜寝る前に最後に口にする白湯が、たまらなく美味しいです。

素朴な味がたまらないんですかね。味覚が枯れてきましたかね。

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素朴な味といえば、沖縄在住川口さんからいただいたこれ、すげえ美味しかったです。まさに素朴な味。

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つい美味しくて、ひとりでほぼ全部食べちゃったんですが、一袋750キロカロリーでした。

ははは、食べ過ぎやーん。

フットサルで消費したかカロリーを一瞬で補填しましたね。あーあ。

教訓:味は素朴でもカロリーはかわいくない

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黒澤世莉です。

時間堂の稽古場を見学に来ていた大学生がいました。稽古場でマイズナーテクニックを導入しているそうなのですが、自分たちが指導する立場になって、じっさい現場ではどういうふうに活用されているのか興味があったそうです。

観に来るうちに、自分たちでもやってみたいという事になりました。時間堂のワークショップに参加したくても、今年からは経験者のみのクラスしかやっていません。

相談して、サークルに呼んでもらって、わたしが教えに行く、という企画になりました。

たまたま、その大学にある他の演劇系サークルのひとと会う機会が多かったので、そこをつなげました。幾つかのサークルでひとを集めることになりました。いい機会なので、個人的に面識のある、他の地域で出会って春から東京に出てきたひとたちも誘って、15名のクラスの開催となりました。

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前述のとおり、いま黒澤世莉や時間堂のワークショップを受けられるのは、経験者に限られています。ただ、別に俳優指導をやめたわけではありません。こういう枠組みもありますので、活用していただければなと思います。

今回は、熱い思いを持った大学生が、多くの人を集めて開催してくれました。結果として、クラスの内容は良かったと思うのですが、それ以上に、普段顔を合わせない、同じ年代の人々の出会いの場になったことが良かったかと思います。

やっぱり、新しい関係っていうのは、刺激的だからね。大事。

そういう場を作った今回の企画者に拍手です。お疲れさまでした。

先ほどの枠組みを使えば、10人集めれば一人2,000円でわたしを呼ぶことが出来ます。無料の会場をみつけて、10人集められる方は、ぜひやってみたらいいと思います。

ほんとにやりたいなら、自分で動けばいいんだよ。本気で動けば、けっこうなんとかなるもんです。相談にものりますので、いつでもご連絡ください。seri@seriseri.com

て、今日フットサルにたくさん人が集まったのは、主催者やひさびさにきた川口さんの人望だよなあ、て思いながら書きました。

やっぱり「やるぞ、来いよ」ていう人がいないと、なにも始まらないのです。

なんで、そういうひと、なれるひとはなってください。なれないかた、言い出しっぺを大事にしてあげてください。

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黒澤世莉です。

最近新しい環境に行くことが多いです。そこで思ったことを書きます。

普段いる環境と違う環境に行くと「どう振る舞うか」を考えちゃったりするんですけど、それ全部ムダだなって思いました。

最近は「他人にどう思われるか気にしちゃう」みたいなこと、卒業したかなって思ってたんですけどね。新しい環境や、いろいろ思う所ある場所に行くと、自然体では振る舞えませんね。

あるいは、自然体で振る舞った結果を気にしちゃいますね。

でも、どんな場合でも他人はコントロールできないから。

どう振る舞ったって、好かれるときは好かれるし、嫌われるときは嫌われるんです。

それだったら、肩の力を抜いて、自然体で、正直にしていたほうが、自分も楽だし、相手も余計な気使わなくていいじゃない。それで縁がなかったら、最初から縁がないんですよ。

「他人に好かれたい」とか「その場に適した振る舞いをしたい」ていう気持ち、ゼロにすることはないけど、それが目的化しちゃうと、疲れるし、かえって気持ち悪いよね。

「私もまだまだだな」と思いましたとさ。「人の気も知らないで」(作:横山拓也)の長田の台詞ですねえ。

写真は十色庵の一階が空きテナントになっているんですが、その広告が落ちていて可哀想だったので激写。どなたか素敵なカフェとか営業したらいいと思うよ。

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明らかに雨の予報の中でも果敢に自転車で出掛け、帰り道ほぼ雨に降られずに帰れたことに気を良くしている黒澤世莉です。人間が小さいですね。

いいんだよ。小さなことに満足できるほうが、幸せだろうがよ。

他人にバカにされたっていいのさ。ふん。

去る4/20は、5月のレパートリーシアター「いちごの沈黙。」他の稽古初日と、時間堂ワークショップ演技:アドバンストクラスの二本立てでしたよ。よく働きましたね、わたくし。

ワークショップのことを書きます。

楽しいアドバンストクラスでした。笑ったな―。人数多いといろんな関係が見られていいですね。「中学生の片思い」「高校生の朴念仁」「紙風船風倦怠期」と、いろんな男女が観られました。

それはさておき。

俳優に「シンプルにやる」「シンプルである」ことを求めると同時に、わたしも出来るだけ「シンプルに伝える」ようにがんばっています。短くわかりやすい言葉が、最も理解されやすいですからね。

でも、短くわかりやすい言葉で相手に伝える、というのは、一筋縄ではいかないものです。

たとえば、Aさんの演技が上手くいっていない場合。私はAさんがBさんに対して、この場で要求されている「身体を観察して、そこにあるものをシンプルに伝える」ということができてないな、腕を固めて組んでしまっているもんな、その要因は「考えすぎ」だな、て思ったとします。

で、わたしが「考えすぎ」とだけ言ったとします。これだけで次が上手くいくかっていうと、結構難しい。そうとう言葉の共有や時間の共有がなされてないと、誤解されやすい。「考えすぎ」という言葉の解釈だって様々ですし。

で、身体のことだけ伝えればいいかって言うと、それはひとつのやり方ですけど、でもその根本の問題は「考えすぎ」る習慣を修正しないと時間もったいないよな、とか思うわけです。

で、そのへん全部丁寧に説明すると、こんどは話の焦点がぼやけてきたりする、と。

この例の場合、起きている問題がはっきりしているからいいですけど、実際そんな明確に分かってなくて、なんとなくうまくいってないけど、どういうことなんだろう、てことを、本人との対話で探ったりするわけですね。

そういう場合は、ほんとに色々な言葉が飛び交うので、焦点がぼやけることも多いです。

何がフックになって相手の気付きになるかは分からないから、色々言ってみることが悪いコトだとは思っていません。

でも、短くわかりやすい言葉が、最も理解されやすい、てのは間違いない。だから、できるだけそういう指摘ができるよう、毎回がんばってます。

削りすぎて伝わらないリスクとか、不安すぎて伝わらないリスクとか、いろいろあるけど、どうせリスクはつねにあるんだから、とりあえず挑戦していくしかないですよね。

そういう意味では、その場でがんばってる俳優のみなさんと、ファシリテーターっていうのは、同じ立場なのかもしれません。

楽しいアドバンストクラスでした。ご参加のみなさま、ありがとうございました。また来てね。

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